呑口のみくち)” の例文
酒樽さかだるが引つくり返つて、呑口のみくちが飛んだと見えて、店中が酒の洪水こうずゐだ、——訊いて見ると、一刻ばかり前、江戸の人が通りかゝつて、のどかわくからと、冷で一杯所望し、それを呑むうち
たゞ無々ない/\とばかり云ひをつておのれ今にあやまるか辛目からきめ見せて呉んと云ながら一升ます波々なみ/\と一ぱいつぎ酒代さかだい幾干いくらでも勘定するぞよく見てをれと冷酒ひやざけますすみより一いきにのみほしもうぱいといひつゝ又々呑口のみくち
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
呑口のみくちひねる)——親仁、またそこらへ打倒ぶったおれては不可いけないよ。
山吹 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
聞ても無い/\と計り云は奇怪なり大方おほかたさけもあるに相違あるまじと云つゝ武士さふらひはづか/\と立寄たちよつ酒樽さかだる呑口のみくちますあてがひヤツと一トねぢり捻りければ酒はどく/\出しゆゑおのれこれほど澤山酒もあるものを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)