みょう)” の例文
みょうという語はその本来は少し不明になっておりますが、自分の考うるところによれば区別開墾地という意味であろうと思う。
名字の話 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
そして隠岐ではその「みょう」の数に制限があってみだりにそれを殖やさぬ慣例であったと見え、間脇のものが百姓に仲間入りするにはその株を買う必要があったのだ。
間人考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
保の同級には今の末松子すえまつしの外、加治義方かじよしかた古渡資秀ふるわたりすけひでなどがいた。加治は後に渡辺氏を冒し、小説家のむれに投じ、『絵入自由新聞』に続物つづきものを出したことがある。作者みょう花笠文京はながさぶんきょうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
水戸さまは鼈甲べっこうの笠を冠ってお通いなされたと云いますが、伽羅は大した事で、容易に我々は拝見が出来んくらい貴い物で、一ぼくみょうと申しまして、仙台の柴舟しばふね、細川の初音はつねに大内の白梅しらうめ
一つの実例を挙げると荘園が新たに設けられ、やや広い平野を区劃分割した場合には、その各区をみょうと名づけてそれになんらか新しい地名を付与しなければならなかった。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
ミョウすなわち大名小名の「みょう」で、もと名負地なおいちすなわち名田みょうでんを意味する。
間人考 (新字新仮名) / 喜田貞吉(著)
今日人名のような村名のあるのは昔のみょうが一村になったもので、後にその地に住んだ名主はまたその居住地名を家号にしたために、人の名乗のような苗字ができたのである。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
みょう」は荘園の小区劃の意味で、おそらくは別名は個々の名主がなした追加開墾地であろう。要するにこれらの地名は今日の語でいうと枝郷えだごう出郷でごう出村でむらというのに該当するのである。
地名の研究 (新字新仮名) / 柳田国男(著)