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名付
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なづけ
なし夫より
國許へ歸れば間もなく
兩人の妻
安産なし金屋の
方は女子にて名をお
菊と呼び
井筒屋の
方は男子にて吉三郎と
名付互ひの
悦び大方ならず
豫て
約束の如く
夫婦にせんと末を
伏たる程の
腫物出來て
病むこと甚だしく自由には
起居も成ざればお花は又もや
駭きて以前の醫者を
呼て見するに此度は醫師も
首を傾け是は何共
名付難き
腫物なり何にもせよ口を明て毒を
なし妻お八重との
中に二人の子を
儲け長男を松吉と
呼び既に嫁をも娶り妹をお粂と
名付是も淺草田原町なる花房屋彌吉方へ
縁付樣子も好とて夫婦
倶々安心なし最早悴松吉に世を讓り
氣樂隱居を