“叫(よ)” の例文
日の影九六申(さる)にかたぶく比(ころ)、快庵禅師寺に入りて九七錫(しやく)を鳴(なら)し給ひ、遍参(へんざん)の僧九八今夜(こよひ)ばかりの宿をかし給へと、あまたたび叫(よ)べども九九さらに応(こたへ)なし。
叫(よ)ビテ水雲昏(くら)シ/手ニ到ル凶函涙痕湿(うるお)フ/蕙帳夜空シク謦欬ノ如ク/松堂月落チテ温存ヲ失フ/俊才多ク出ヅ高陽里/遺業久シク伝フ通徳門/天際少微今見エズ/誦スルニ招隠ヲ将(もっ)テ招魂ニ当ツ〕『春濤詩鈔』にこの挽詞(ばんし)を
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
御衣は柿色(かきいろ)のいたうすすびたるに、手足の爪(つめ)は獣(けもの)のごとく生(お)ひのびて、さながら魔王の形(かたち)、あさましくもおそろし。空(そら)にむかひて、一二九相模(さがみ)々々と、叫(よ)ばせ給ふ。
老母も今は疑(うたが)はず、一一三相叫(よ)びて其の夜は哭(な)きあかしぬ。