取捉とっつか)” の例文
鼠というやつの憎さが骨身にとおって、取捉とっつかまえて噛み切ってやりたい。お浜は鼠をのろいつめて仏壇の方をにらめて歯噛はがみをする。
大菩薩峠:02 鈴鹿山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
取捉とっつかまえて、あわよくば、見せ物にして金儲かねもうけをしてやろう
蕗の下の神様 (新字新仮名) / 宇野浩二(著)
そうよ、あいつはどう見ても、穢多に取捉とっつかまるような男でねえ、あの奴等にしたからっても、なんぼ何でもお組頭のお邸へ火をつけて、大将を
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一人の女を生かしておくとこの後、好い男が幾人創物きずものになるか知れたものではない、それ故に、女と見たら取捉とっつかまえて沈めにかけておくのがよろしい。
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
その以外の、誰かこの辺のお百姓にでも怪しまれて、取捉とっつかまってみたところで、タカが子供ではないか——
大菩薩峠:28 Oceanの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
一番あの女軽業のお角という女を焚附たきつけてかしてやろう、そうしてがんりきの胸倉むなぐら取捉とっつかまえて、やいのやいのをきめさして、動きの取れねえようにしておけば
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
神尾の殿様の様子を見ようと石灯籠の蔭で隙見すきみをしているところを取捉とっつかまって、すんでのことに息の根を止められようとするところを不意にあの騒ぎで、神尾の殿様も
取捉とっつかまえた連中も少しあきがおです。いま追いかけたのは、もっと身のこなしが人間らしい男であったが、これは子供、子供のように見える大人、大人のように見える子供。
大菩薩峠:07 東海道の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
岩の上に立った米友を下からうずを巻いて押し寄せた川越し人足、なにほどのこともない、取捉とっつかまえて一捻ひとひねりと素手すでで登って来るのをえいと突く。突かれて筋斗もんどり打って河原へ落ちる。つづいて
浅草の広小路でなぐってやった侍の組だの、吉原で喧嘩をした茶袋だのというのが俺らのすじょうを知って、俺らを取捉とっつかめようとして探してるんだそうだ、だから当分、ほとぼりの冷めるまでは
大菩薩峠:17 黒業白業の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
取捉とっつかまえて八つ裂きにしてやりたいほどの口惜くやしがり方です。
大菩薩峠:20 禹門三級の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)