友誼いうぎ)” の例文
第一期では人間が現世でさいはひを得ようと思ふ。少壮、健康、友誼いうぎ、恋愛、名誉といふやうに数へて、一々その錯迷さくめいを破つてゐる。恋なんぞも主に苦である。さいはひは性欲のを断つに在る。
妄想 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
さうしてかれむかし生活せいくわつ健全けんぜんで、愉快ゆくわいで、興味きようみつたこと、其頃そのころ上流社會じやうりうしやくわいには知識ちしきつたとか、また其社會そのしやくわいでは廉直れんちよく友誼いうぎ非常ひじやうおもんじてゐたとか、證文しようもんなしでぜにしたとか
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
貴嬢との友誼いうぎの上に何の障礙しやうがいをも見なかつたと思ふ、是れは規定さだめの祈祷会や晩餐会にまさりて、天父の嘉納まします所では無いでせうか、是れは神の殿みやがエルサレムでも無く、羅馬ラウマでもなく
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
アヌンチヤタに引きあはせ得さすべし。彼君は汝を待ち受けたり。こは我友誼いうぎなれば。なに彼君が。と我は言ひさして、血は耳廓みゝのはに昇りぬ。たはむれすな。我をいづくにか伴ひゆかんとする。友。