厚化粧あつげしょう)” の例文
その頃は芸者が意気なつくりをよろこんで、素足すあしの心意気の時分に、彼女は厚化粧あつげしょうで、派手やかな、人目を驚かす扮飾をしていた。
明治美人伝 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
あわてて枕許まくらもとからがったおせんのに、夜叉やしゃごとくにうつったのは、本多信濃守ほんだしなののかみいもうとれんげるばかりに厚化粧あつげしょうをした姿すがただった。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
なお一般に顔のよそおいに関しては、薄化粧が「いき」の表現と考えられる。江戸時代には京阪の女は濃艶な厚化粧あつげしょうを施したが、江戸ではそれを野暮といやしんだ。
「いき」の構造 (新字新仮名) / 九鬼周造(著)
浅黄繻子あさぎじゅすかみしも厚化粧あつげしょうをした嵐粂吉になってみるのも面白いかも知れない。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)