区劃しきり)” の例文
旧字:區劃
といって、余処よそのお祖母ばあさんでもないが、何だか其処に薄気味の悪い区劃しきりが出来て、此方こっちは明るくて暖かだが、向うは薄暗くて冷たいようで、何がなしにこわかった。
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
昔から釘附くぎつけに為てあると計り思つて居た内陣と本堂との区劃しきりの戸を開けると云ふ事は、すくなからず小供の好奇かうきの心を躍らせたが、愈々いよ/\左から三枚目の戸に手を掛ける瞬間しゆんかん
蓬生 (新字旧仮名) / 与謝野寛(著)
瓶の区劃しきりつまずいて倒れた手に、はっと留南奇とめきして、ひやひやと、氷のごとく触ったのは、まさしく面影を、垂れたかいなにのせながら土間を敷いて、長くそこまでなびくのを認めた
陽炎座 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
竹の自在鍵じざいの煤びたのに小さな茶釜が黒光りして懸つて居るのが見えたかと思ふと、若僧は身を屈して敬虔けいけんの態度にはなつたが、直と区劃しきりになつてゐる襖を明けて其の次の
観画談 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
そのはうしやくのかなしい区劃しきり
東京景物詩及其他 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
すぐ区劃しきりになっているふすまを明けてその次のへ、いわば闖入ちんにゅうせんとした。
観画談 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)