力足ちからあし)” の例文
これはらぬと力足ちからあしふみこたゆる途端とたん、さのみにおもはざりし前鼻緒まへはなをのずる/\とけて、かさよりもこれこそ一の大事だいじりぬ。
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
曲者はこれを取られてはならんと一生懸命に取返しにかゝる、るまいと争う機みに、何ういう拍子か手紙のなかば引裂ひっさいて、ずんと力足ちからあしを踏むと
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
と軽く力足ちからあしを二三度踏んだ。熊さんは無論亭主の名であるが、まだ奥で寝ている。のぞいて見ると、昨夕ゆうべうつつに気味をわるくした、もじゃもじゃの頭が布団ふとんの下から出ている。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
彼は力足ちからあしめるようにして歩きだした。見ると、もう吉良家の裏門に近く来ている。かねて小豆屋善兵衛の探知によって、家老小林の宅が裏門に近い所にあるとは聞いていた。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
ゆくてのさきの障碍さまたげを、もどかしとてや、力足ちからあし
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
通常の者ならよろけて倒れるところでございますが、小三郎は柔術も剣術も名人な人ゆえ力足ちからあしを踏止めて、懐中より一節切を抜出し、仙太郎の利腕をモロにグッと落しますと
ゆくてのさきの障碍さまたげを、もどかしとてや、力足ちからあし
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)