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其體
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そのてい
呼に此方の後藤は
先刻より表に立て
懸合の樣子を
聞居たりしが元より
氣象濶達の人故ぢり/\氣を
焦ち今に見よと
腕を
摩つて
待處に八五郎が呼込や否や油屋の見世へ
躍り
上りたり
其體赤銅造りの
強刀を
取りあげ如何にも
痩衰へたる
其體千辛萬苦の
容子自然と面に顯はれたり
正直の
頭に
舍り給ふ天神地祇云ず
語ず
神明の
加護にや大岡殿夫婦の
體最憐然に思されコリヤ九助其の方は如何なる
意趣有て親類
縁者たる惣内夫婦を