公卿こうけい)” の例文
還啓に供奉ぐぶする公卿こうけいの多さは行幸にも劣らぬものだった。御秘蔵子の東宮のお帰りになったのちの院の御心は最もお悲しかった。
源氏物語:10 榊 (新字新仮名) / 紫式部(著)
なるほど、京都へまいれば秀吉公ひでよしこうのお力にすがることもでき、公卿こうけい百官の邸宅ていたく諸侯しょこうの門などいらかをならべておりますから、またなんぞうまい手蔓てづるにぶつからぬかぎりもござりますまい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
養和やうわの秋、富士河の水禽みづとりも、まだ一年ひととせぬ夢なれば、一門の公卿こうけい殿上人てんじやうびとは言はずもあれ、上下の武士何時いつしか文弱ぶんじやくながれみて、嘗て丈夫ますらをの譽に見せし向ふ疵も、いつの間にか水鬢みづびんかげおほはれて
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
公卿こうけいが皆退出するし、中宮と東宮はお住居すまいの御殿へお帰りになって静かになった。明るい月が上ってきて、春の夜の御所の中が美しいものになっていった。
源氏物語:08 花宴 (新字新仮名) / 紫式部(著)
公卿こうけいも二人の大臣以外は全部供奉ぐぶした。神前の舞い人は各衛府えふの次将たちの中の容貌ようぼうのよいのを、さらに背丈せたけをそろえてとられたのであった。落選してなげく風流公子もあった。
源氏物語:35 若菜(下) (新字新仮名) / 紫式部(著)
公卿こうけいをこんな失礼な所へ置いてはおけない。対のほうへ行くことにしよう」
源氏物語:37 横笛 (新字新仮名) / 紫式部(著)
公卿こうけいといってもこの人の勢いに必ずしも皆まで匹敵できるものでない。私の予言は必ず当たるよ。この人たちには露骨でなく、上手じょうず切尖きっさきをはずさせるように工夫くふうするのだね。おもしろい手紙だよ
源氏物語:24 胡蝶 (新字新仮名) / 紫式部(著)