先頃せんころ)” の例文
ことにバクテリアなどは先頃せんころまで度々たびたび分類学者が動物の中へ入れたんだ。今はまあ植物の中へ入れてあるがそれはほんのはずみなのだ。
ビジテリアン大祭 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
成程なるほどそれも一説だが、けれども和蘭人が何もも一々飜訳するものじゃない。僕は先頃せんころ横浜にいっあきれて仕舞しまった。この塩梅あんばいではとても蘭学は役に立たぬ。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
先頃せんころまで三奸さんかんの随一に数えられたが、賢の賢たる所以ゆえんも備わるが、奸の奸たる毒素も持たざるなし、あしたには公武の合体を策し、ゆうべには薩長の志士と交るといえども
大菩薩峠:41 椰子林の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
これを其の先頃せんころ当所で海賊を退治しやした江戸の剣術の先生が聞付けやしてな、美人だてえので態々わざ/\逢いにきやしたところが、その熊女が逃出したそうで、けれども先生だからゆるさねえ
後の業平文治 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
先頃せんころ私が茨窪ばらくぼ松林まつばやしを散歩していると、向うから一人の黒い小倉服を着た人間の生徒が、何か大へん考えながらやって来た。
茨海小学校 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ある人は、新聞に三つの理由をあげて、あの茨海の野原は、すぐ先頃せんころまで海だったということを論じました。
茨海小学校 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
「おおい、いよいよ急がなきゃならないよ。先頃せんころの死亡承諾書ね、あいつへ今日はどうしても、爪判を押して貰いたい。別に大した事じゃない。押して呉れ。」
フランドン農学校の豚 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
先頃せんころ学芸会があったのでしたが、その時ちゃんと、狐にったことから何から、みんな話していたのです。ただおしまいが少しちがって居りました。それはその生徒の話では
茨海小学校 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
先頃せんころ又三郎からいたばかりのその歌を一郎はゆめの中でまたきいたのです。
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
もう又三郎が行ってしまったのだろうかそれとも先頃せんころ約束やくそくしたように誰かの目をさますうち少し待って居て呉れたのかと考えて一郎は大へんさびしく胸がさらさら波をたてるように思いました。
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
先頃せんころ僕行って挨拶あいさつして来たおじさんはもう十六回目の大循環なんだ。
風野又三郎 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ひげもめがねもあるのさ。先頃せんころ来た大臣だってさうだ。」
二人の役人 (新字旧仮名) / 宮沢賢治(著)
「あなた方は先頃せんころのひばりさんですか」
貝の火 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)