優曇華うどんげ)” の例文
張飛としてけだし千ざいの一遇といおうか、優曇華うどんげの花といおうか、なにしろ志を立てて以来初めて巡り合った機会といわねばなるまい。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あるいは、何かの因縁で、斯道このみちなにがしの名人のこぼれ種、不思議に咲いた花ならば、われらのためには優曇華うどんげなれども、ちとそれは考え過ぎます。
白金之絵図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
北見小五郎はそういって、かたわらの大円柱の表面の蔦を分けて、その間に見える白い地肌から、優曇華うどんげの様に生えている、一本の長い髪の毛を見せました。
パノラマ島綺譚 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
小野さんはおとなしくして事件の発展を、おのずから開くべき優曇華うどんげの未来に待ち暮していた。小野さんは進んで仕掛けるような相撲すもうをとらぬ、またとれぬ男である。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
霊山会上りょうぜんえじょうに釈迦が優曇華うどんげねんじて目をまたたくのを見たのはまさに百万衆であった、が、この時真に見たのはただ摩訶迦葉かしょう一人である。他の百万衆は見て見なかった。
日本精神史研究 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
しかし私が心配したような血痕などは目に入らなかった。もうこの畳は幾十年たったか分らぬ程古かった。又青紙のはってない黄色な壁の上には優曇華うどんげが咲いていた。
老婆 (新字新仮名) / 小川未明(著)
女ひとり永年艱難辛苦かんなんしんくの末、ようやくにしてたずねあてたる父のかたきにめぐりあい、優曇華うどんげの花咲くここちいたしておりまするに、この場において仇討ちならぬとおおせられまするか?
亡霊怪猫屋敷 (新字新仮名) / 橘外男(著)
盲亀もうき浮木ふぼく優曇華うどんげの花、お蔭で目的を果したという鄭重なお礼状が来た。しかしそれから一月ばかりして、僕は或る朝役所で官報を開くと同時に吃驚びっくりした。野口君の休職辞令が出ていたのである。
首切り問答 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
優曇華うどんげ物語』の喜多武清きたぶせいの挿画が読者受けがしないで人気が引立たなかった跡を豊国とよくにに頼んで『桜姫全伝』が評判になると、京伝は自分の作が評判されるのは全く挿絵のおかげだと卑下して、絵が主
八犬伝談余 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
優曇華うどんげの花まち得たるここちして深山みやま桜に目こそ移らね
源氏物語:05 若紫 (新字新仮名) / 紫式部(著)
俊雄に預けて熱海あたみへ出向いたる留守を幸いの優曇華うどんげ
かくれんぼ (新字新仮名) / 斎藤緑雨(著)
白い優曇華うどんげの花が咲いていたっけ
檻の中 (新字新仮名) / 波立一(著)
優曇華うどんげ
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)