おおい)” の例文
あわれ水よ、おおいなる宇宙を三分して、その一を有するなんじ、瀬となり、滝となり、ふちとなり、のあたり我が怪しき恋となりぬ。
沼夫人 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
全ての人工的障碍が打破せられなければならない。おおいなる自由に向ふ大道に数世紀の間横たはつてゐる服従と奴隷の足跡が払拭せられなければならない。
「婦人解放の悲劇」自序 (新字旧仮名) / 伊藤野枝(著)
おおいなる自由に向ふ大道に数世紀の間横たはつてゐる服従と奴隷の足跡が払拭せられなければならない。
婦人解放の悲劇 (新字旧仮名) / エマ・ゴールドマン(著)
これは恋愛が単に新しき存在を創造するからと云ふのではない。おおいなる愛によつて創造せらるるこの存在物は時代より時代を追ふて幾多の精神を拡大するであらう。
恋愛と道徳 (新字旧仮名) / エレン・ケイ(著)
紀元千八百九十五年—月—日の凱旋祭がいせんまつりは、小生が覚えたる観世物みせものうちに最もおおいなるものに候ひき。
凱旋祭 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
ああおおいなるかな、其仁そのじん禽獣きんじゅうに及ぶ……と無暗むやみにおめなさるべく候。
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
かんざしの花がりんとして色が冴えたか気が籠って、きっと、教頭を見向いたが、その目の遣場やりばが無さそうに、向うの壁に充満いっぱいの、おおいなる全世界の地図の、サハラの砂漠の有るあたりを、すずしい瞳がうろうろする。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)