倫理りんり)” の例文
観念内の遊戯としてもてあそぶぶんには一向無難であるが、実行に移した場合のことをかんがえると倫理りんり感情は一種不快な圧迫を受ける。
黒い手帳 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
仁義礼智じんぎれいちなどとは斯道しどうの人にあらざればかいあたわぬ倫理りんりとして、素人しろうとのあえて関せざる道理のごとくみなすふうがある。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
〔譯〕倫理りんりと物理とは同一理なり。我れ倫理の學を學ぶ、宜しく近くこれを身に取るべし、即ち是れ物理なり。
たまに正直な純粋じゅんすいな人を見ると、っちゃんだの小僧こぞうだのと難癖なんくせをつけて軽蔑けいべつする。それじゃ小学校や中学校でうそをつくな、正直にしろと倫理りんりの先生が教えない方がいい。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
俊男は今年ことし三十になる。ぼう私立大學しりつだいがく倫理りんり擔任たんにんしてゐるが、講義の眞面目まじめで親切であるわりに生徒のうけくない。自躰じたい心におもりがくツついてゐるか、ことばにしろ態度にしろ、いやに沈むでハキ/\せぬ。
青い顔 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)