)” の例文
ふすまをあけて、椽側えんがわへ出ると、向う二階の障子しょうじに身をたして、那美さんが立っている。あごえりのなかへうずめて、横顔だけしか見えぬ。
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
幼なき方はとこに腰をかけて、寝台の柱になかば身をたせ、力なき両足をぶらりと下げている。右のひじを、傾けたる顔と共に前に出して年嵩としかさなる人の肩に懸ける。
倫敦塔 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
御蔭おかげで、岩で骨が痛んだり、泥で着物がよごれたりする憂いがないだけ、惨憺みじめなうちにも、まだ嬉しいところがあった。そうして、硬く曲った背中を壁へたせた。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「恐ろしい頑固がんこな山だなあ」と四角な胸を突き出して、ちょっと桜のつえに身をたせていたが
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
今夜はマドンナの君においですかと野だが云う。赤シャツは馬鹿ばかあ云っちゃいけない、間違いになると、船縁に身をたしたやつを、少し起き直る。エヘヘヘヘ大丈夫ですよ。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)