候間そうろうあいだ)” の例文
わたくし、金がなければお前様まえさまとも夫婦になれず、お前様の腹の子の始末しまつも出来ず、うき世がいやになり候間そうろうあいだ、死んでしまいます。
温泉だより (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
平馬をはじめ結城藩の若侍一同、今宵深更こよいしんこう、結城の城下はずれの森に会合致し、筑波神社祭礼神前仕合の策戦をなすよし、たしかなる筋より聞き及び候間そうろうあいだ御参考にまで密告仕侯。
平馬と鶯 (新字新仮名) / 林不忘(著)
当方へ御申越願度ねがいたく、でき得る限りの御辛抱ねがいたく、このこと兄上様へ知れると一大事につき、今回の所は私が一時御立替御用立申上もうしあげ候間そうろうあいだの点お含み置かれるよう願上候。
帰去来 (新字新仮名) / 太宰治(著)
新らしき敵現われ候間そうろうあいだ、御油断召さる間敷候まじくそうろう。堀織部正おりべのかみ殿恩顧の者共に候。
老中の眼鏡 (新字新仮名) / 佐々木味津三(著)
復啓二月二十一日付を以て学位授与の御辞退相成あいなりたきおもむきの御申出相成あいなり候処そうろうところすで発令済はつれいずみにつき今更いまさら御辞退のみちもこれなく候間そうろうあいだ御了知相成たく大臣の命により別紙学位記がくいき御返付おかえしつけかたがたこの段申進もうしすすめそうろう敬具
博士問題の成行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
封入の金子きんす、貴殿俸給の内渡うちわたし有之これあり候間そうろうあいだ御査収願上候ねがいあげそうろう
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
私儀わたくしぎ柔弱にゅうじゃく多病につき、敵打の本懐も遂げ難きやに存ぜられ候間そうろうあいだ……」
或敵打の話 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)