信西しんぜい)” の例文
この叔父たるや、生来、清盛とは仲のわるい利己主義な人物でしたが、清盛は、窮鳥を殺すに忍びず、一夜、少納言信西しんぜい入道の私邸を訪う。
随筆 新平家 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
関白忠通卿はいつもの優しい笑顔を見せて、今ここへはいって来たひと癖ありそうな小作こづくりのやせ法師を迎えた。法師は少納言通憲みちのり入道信西しんぜいであった。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
そのあるものは信西しんぜいのようであった。彼らは叫び、のろい、やいばをもって互いにきずつけた。その争闘ははてしないように見えた。ついに幻影の群勢ぐんぜいは格闘しながら海の中へ没した。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
お判りにならぬのももっともでございます、申し上げるのも恥ずかしいことながら、私は故少納言入道信西しんぜいの娘で阿波の内侍、母は紀伊きいの二位、昔は大層可愛がって下さったものでござりましたのに
信頼のぶより信西しんぜいほどの実行の力も気概もない。そして関白争いなどと云うおかしな真似まねをしでかしては風流学問に身をかわす。惜しい人物だ。それにつけてもあに様の一慶和尚は立派なお人であったぞ。
雪の宿り (新字新仮名) / 神西清(著)
「——おおこれは」見ると、少納言信西しんぜいの息子、浄憲法師じょうけんほうしという、才子で、人あたりがよくて、そして院のうちの切れ者といわるる人物だった。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
俊寛 保元ほうげんの乱に頼長よりながの墓をあばいた信西しんぜいは、頼長の霊にのろわれて平治へいじの乱には信頼に墓をあばかれた。信西の霊は清盛について、信頼を殺させた。今信頼の霊は成親殿にのりうつった。
俊寛 (新字新仮名) / 倉田百三(著)
信頼のぶより信西しんぜいほどの実行の力も気概もない。そして関白争ひなどと云ふをかしな真似まねをしでかしては風流学問に身をかはす。惜しい人物だ。それにつけてもあに様の一慶和尚は立派なお人であつたぞ。
雪の宿り (新字旧仮名) / 神西清(著)
信西しんぜい入道などから見たら義朝などはお人のよいやすい人物だろうし、いわんや六波羅殿と比較したら、武力では知らぬ事、政治的な頭のほうでは、くらものになりはしない
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)