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信房
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のぶふさ
徳太郎君
聞給ひ先夜も申聞すごとく予は
紀伊大納言殿の三男徳太郎
信房だぞ
無禮致すな
提灯の
紋は目に見えぬか
慮外せば
赦さぬぞと
宣まふ大岡
大音あげ紀伊家の若君が
御辨へなく
殺生禁斷の場所へ
網を
掛くれば
彼者自若として予は大納言殿の三
男徳太郎
信房なり
慮外すな
此提灯の
葵の
紋は其方どもの目に見えぬかと
悠然たる
形容に與力は
手荒にすべからずと
云付られたれば
詮方なく立歸り
奉行大岡忠右衞門に
此趣きを