作事場さくじば)” の例文
二人ともばつが悪くなって、差し向いで胡坐あぐらをかいたまま、黙っていた。その時次の作事場さくじばあらがねたたく音がかあんかあん鳴った。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
それに面白いことは、近代設備は、昨年の作事場さくじば的工場内よりカラリとしていて、独特の空気があるのが、光子さんの筆触ではまだつかまれなかった。
井戸掘り人足は、江戸城の中の、西の丸御新城ごしんじょうとよぶ作事場さくじばへはいる。——と、そんなことまで大蔵は知っていて
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「大変だ、作事場さくじばが燃える!」
怪しの者 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
あとから分った話だが、これは作事場さくじばと云うんで、技師の鑑定で、ここには鉱脈があるとなると、そこを掘りひろげて作事場にするんである。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
御覧ごろうじませ、あちらの作事場さくじばを——あのように幼い女子供から、髪の白い老人までが、賃銀も求めずに、しかも嬉々ききとして、石を運び、材木の綱を曳いております。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、のみを取り上げた。初さんと自分は作事場さくじばを出る。ところへけむが来た。煙硝えんしょうにおいが、眼へも鼻へも口へも這入はいった。
坑夫 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「わかった。——じゃが、将軍様には今し方作事場さくじばを一巡遊ばして、あれなるお休み所の丘に、只今床几しょうぎをおすえ遊ばしておられるところだ。お目障めざわりだ、ひかえろ」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とおせていた目を、すぐ真下ました作事場さくじば——内濠うちぼりのところにうつすと、そこには数千の人夫にんぷ工匠こうしょうが、朝顔あさがおのかこいのように縦横たてよこまれた丸太足場まるたあしばで、エイヤエイヤと
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)