何樣どう)” の例文
新字:何様
散亂心とは何樣どういふ心だ。曰く、散亂心とは定まらぬ心で、詳しく論ずれば二種ある。其の一は有時性で、其の二は無時性のである。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
立て今日御奉行樣がお秀を取戻とりもどして遣はすと仰せられた故離縁状は何樣どうしてもかゝずと云ふに番頭久兵衞は甚だこまはていや然樣さやうなる事を云はれたとて離縁状を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
福を惜む人が必らずしも福に遇ふとは限るまいが、何樣どうも惜福の工夫と福との間には關係の除き去る可からざるものが有るに相違ない。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
何程なんぼ御店がお大事でもたえておあしむかぬとは餘まり氣強きづよき罪造り何樣どうかお都合なされし上一寸ちよつとなりともお顏をみせてと云を打けし千太郎は是さ吉六殿お前迄が馬鹿ばかにして此千太郎を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
そゝげども竹愈〻翠に、天寒けれども鴨水に親しむ面白い境に到り得たのであるが、何樣どうして容易に其處に到り得よう。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
一寸ちよつとと云て小蔭こかげまねき今日は何樣どうとも都合つがふなし是非若旦那へ此文を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
兎島といふ半島的突出の北部の灣形に入り込んだところなどは、何樣どう見ても茶人的の大庭の池の甚だ寂び古びたやうな感じで、幽雅愛すべきである。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
死んだ人はの恐ろしい瀧の中へ飛込んだなら一切この世とは連絡が絶えてしまふ位に考へてでも有らうが、何樣どうしてそんなに容易に一切が水の泡となるものでは無い。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)