何所いづこ)” の例文
あはれ果敢はかなき塵塚ちりづかうちに運命を持てりとも、きたなきよごれはかふむらじと思へる身の、なほ何所いづこにか悪魔のひそみて、あやなき物をも思はするよ。
軒もる月 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
斯の如き有様故、此無根の風説の世間に伝はることの速さは想像の外に候。小生の平素全く知らざる人にして、何所いづこより聞き知りしか、此風説を聞き知り居る者有之候。
見て水主等かこらに此處は何所いづこおきなるやと尋けるに水主等はしかとは分らねど多分たぶん兵庫ひやうごおきなるべしと答けるにぞ杢右衞門もくゑもんは吉兵衞にむかひ番頭樣貴所あなたの御運のよきゆゑにたつた二日二夜で海路かいろ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
何所いづこの家郷に行かむとするぞ。
氷島 (旧字旧仮名) / 萩原朔太郎(著)
云ならば二三年以前に出て何所いづこ住居すまひいたせしぞと尋問たづねられしかば庄兵衞は何處迄も云張いひはる了見れうけんにてハイ國者の所にりしと云にその所は何所にて名は何と云やと尋問たづねられしに淺草へんなりしが其の淺草は駒形こまがたにて名は兵右衞門と申すとかシテ其の兵右衞門は只だいま以つて其の所ろに住居いたすやと問つめられしに庄兵衞ヘイ其者そのもの當時は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)