人皇にんのう)” の例文
此の皿山は人皇にんのう九十六代後醍醐天皇ごだいごてんのう、北條九代の執権しっけん相摸守高時さがみのかみたかときの為めに、元弘げんこう二年三月隠岐国おきのくにてきせられ給いし時
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ちょっとした葭簀張よしずばりの茶店に休むと、うばが口の長い鉄葉ブリキ湯沸ゆわかしから、渋茶をいで、人皇にんのう何代の御時おんときかの箱根細工の木地盆に、装溢もりこぼれるばかりなのを差出した。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なにしろ、人皇にんのう第六十代醍醐だいご天皇様の御世みよの出来事だから、人別にんべつのところに少しの狂いはあるかも知れないけれども、どっちにしても綺麗な女の方に間違いはない。
大菩薩峠:05 龍神の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
人皇にんのう十五、六代の頃に明らかに見える。が、紀記ともに其処そこは仮託が多いと思われる。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
人皇にんのう百十一代霊元天皇の延宝五年丁巳ひのとみ霜月しもつき初旬に及んで其業おわるや、京師の本山より貧道ひんどうを招き開山住持じゅうじの事を附属せむとす。貧道、寡聞かもん浅学の故を以て固辞再三に及べども不聴ゆるさず
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
人皇にんのう三十七代孝徳天皇の大化元年十二月の大晦日に、大和の国の岡本というところの都を難波の国の長柄ながらの豊崎に移したところ、大和の鼠も一しょに引越してきたそうだ。鼠にも世帯道具があってな。
三輪の酒は人皇にんのう以前からの名物である。ここにまた古典学者の言うところを聞くと
また明らさまに人皇にんのう第四十六代孝謙こうけん天皇と申し上げてある書物もあるのであります。
大菩薩峠:08 白根山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
みかどの御前に歌をよみ、御感ぎょかんにあずかり、なんじが先祖を申せとある時、はじめて国許を仔細に探ると、人皇にんのう五十三代のみかど、仁明天皇の第二の皇子、深草の天皇の御子、二位の中将と申す人
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)