二年ふたとせ)” の例文
むかひかたには、常に聖にして、曠野、殉教、つい二年ふたとせの間地獄にへしかの大いなるジョヴァンニの座またこれとなり 三一—三三
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
その子のせし後、彼は再び唯継の子をば生まじ、と固く心に誓ひしなり。二年ふたとせのち三年みとせの後、四年よとせの後まであやしくも宮はこの誓を全うせり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かくて二年ふたとせ過ぎぬ。この港の工事なかばなりしころわれら夫婦、島よりここに移りてこの家を建て今の業をはじめぬ。
源おじ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
今の家に綾子が育てられる事となつたのは、一昨年をととしの春だつた。それから——はや二年ふたとせは過ぎた。
秋雨の絶間 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
『伝八郎も、御同様に思う。はやいものでござるの——もうやがて年を越えれば二年ふたとせ
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼が抱へとなりしより、早や二年ふたとせなれば、事なく我等を助けんと思ひしに、人の憂に附けこみて、身勝手なるいひ掛けせんとは。我を救ひ玉へ、君。金をば薄き給金をきて還し参らせん。
舞姫 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
長崎に二年ふたとせ居りて聞かざりしあかつきがたの蝉のもろごゑ
つゆじも (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
二年ふたとせ三年みとせ
枕上浮雲 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
テーヴェロとアルノの間のあらき巖の中にて最後の印をクリストより受け、二年ふたとせの間これを己が身にびき 一〇六—一〇八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
されど治子は一度われをこの泉のほとりに導きしより二年ふたとせに近き月日を経て今なおわれを思いわれを恋うてやまず、昨夜の手紙を読むものたれかこの清き乙女おとめあわれまざらん。
わかれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
彼は『ヰクトリア』座の座頭ざがしらなり。彼がかかえとなりしより、はや二年ふたとせなれば、事なくわれらを助けんと思いしに、人の憂いにつけこみて、身勝手なるいいがけせんとは。われを救いたまえ、君。
舞姫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)