乾草ほしぐさ)” の例文
……それと申しますのも、あまり、甘やかしたせいでござりましょうなれど、乾草ほしぐさわらなどは見向きもいたしませぬ。
キャラコさん:10 馬と老人 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
乾草ほしぐさつくりに手をかしたり、垣根をなおしたり、馬に水をのませに連れていったり、牝牛めうしを放牧場から駆りたてたり、冬の煖炉だんろに燃すまきをきったりした。
彼等かれらたゞ多量たりやう嚥下えんげすることによつて精力せいりよく恢復くわいふく滿足まんぞくするのである。うしうまでも地上ちじやうやはらかなくさ繁茂はんもする季節きせつれば自然しぜん乾草ほしぐさわらいとふやうになる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
それから一時いっとき、にんじんは、じっと、羊の啼き声を聴いていた。それが、だんだんしずまって行く。と、まもなく、乾草ほしぐさがのろいあごの間で噛み砕かれる鈍い音のほか、なんにも聞こえなくなる。
にんじん (新字新仮名) / ジュール・ルナール(著)
犬が啼き居り乾草ほしぐさのなかにやはらかく首突き入れて犬が啼き居り
桐の花 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
われは愛する者と偕にかんばしき乾草ほしぐさに坐らばや。
佐藤春夫詩集 (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
それに、そんなことはどうでもいい、彼女は食うだけのものは食うのだから——青草でござれ、乾草ほしぐさでござれ、野菜でござれ、穀物でござれ、パンや塩にいたるまで、なんでも欲しいだけ食った。
乾草ほしぐさに火をけむぞ
真珠抄 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)