)” の例文
それからの旭茶屋事件には、仏人からの命いがあり、九人の土州兵を流罪るざいということにして肥後と芸州とに預けるような相談も出た。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「私はそれまでに、ぜひ一軒いとまひに行つて来たいところがあるので、手廻しに少し早く起きたんですよ。」
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
ナンバン、大工などの連累者は、ボースンの命いを計画して、それぞれ手分けをして頼み回っていた。ことに大工は、船長と同じ国の山口県の者であった。
海に生くる人々 (新字新仮名) / 葉山嘉樹(著)
その翌日、午前中に、吉弥の両親はいとまいに来た。僕が吉弥をしかりつけた——これを吉弥はお袋に告げたか、どうか——に対する挨拶などは、別になかった。
耽溺 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
各方面からの命いは猛烈をきわめたもので、本人はすっかりその効果を信じているから、サンラザアルの刑務所で悠々閑々ゆうゆうかんかん、あの嘘八百の告白体自伝はここで書いたのだ。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
なんだ、まだこんなところにいたのか。さっき、いとまいに来たから、もうとっくに出発したものとばかり思っていた。さあ、さあ出発。おっと待て、待て。わかれるに当って、もう一度、遊学の心得を
新ハムレット (新字新仮名) / 太宰治(著)
次の日には、北畠顕家あきいえがおいとまいに参内していた。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
相良惣三のために命いをして見ましたがね、官軍の先駆なぞととなえて勝手に進退するものを捨て置くわけには行かないと言うんですからね——とうとう
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「それでは、お姉上さまにおいとまいをしてこよう」とおっしゃりながら、そのまま大空の上の、高天原たかまのはらをめざして、どんどんのぼっていらっしゃいました。
古事記物語 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)