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不詮議
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ふせんぎ
我故に
何時迄か苦しめて世に
存命んよりはとて
密に首を
縊て死したりしに此姑に一人の娘ありて我が母を嫁の
締殺したるならんと思ひ時の
鎭臺へ訴へ出けるに鎭臺
不詮議にて孝行なる嫁を
見られし所如何樣にも
篤實面に
顯はれ
勿々人を殺し
盜賊をする者にあらず
併し
今強て吟味する時は
裁許を破り殊に郡代の
不詮議と相成事なり
然とて人一人たり共
無實に
害ふは大事なれば
先々能實否を
實意の吟味に之なき段申聞ると雖も
左右立腹仕まつり私し九助へ
荷擔致し
贔屓の樣にも申され
迷惑に付上役の儀ゆゑ
餘儀なく其
儘申通りに仕つり候と申ければ大岡殿夫は
矢張其方共が
不詮議なり左程に思はば
何故重役に訴へぬぞ
假令頭たり共
趣意に違ふことありと知つゝ重役へも訴へぬは