不本意ふほんい)” の例文
いっそのことわかれてしまえばかえって気は安いが、やはり男の子ふたりのかすがいが不本意ふほんいに夫婦をつないでおくのだろう。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
あきなひ其餘力よりよくを以て母をやしなひ居候に付私し如何にも不便ふびんに存じ親子共引取べき旨種々しゆ/″\申聞候へ共今更厄介やつかいに相成候は不本意ふほんいなりとて聞入申さず五ヶ年の長病ちやうびやう
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
りつくしまがないようにおもわれるかたがあろうかとかんぜられますので、はなは不本意ふほんいながら、わたくし現世げんせ経歴けいれきのホンの荒筋丈あらすじだけをかいつまんで申上もうしあげることにいたしましょう。
「もうめしはないよ」とつた。御米およね多少たせう不本意ふほんいらしいふうもした。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
ゆえに世間の笑いをくるため心ならずも、標準ひょうじゅんの決勝点を引下げ、いさぎよからずと思いながらも、俗界の喜ぶ勝鬨かちどきを挙げんとする者が多くなり、しかしていわゆる失敗者となるを不本意ふほんいとするにいたる。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)