上方者かみがたもの)” の例文
(又あざ笑ふ。)上方者かみがたものの尻押しをして、江戸つ子にぬれぎぬをきせるなぞとは、本當の江戸つ子でなければ出來ない藝だよ。
権三と助十 (旧字旧仮名) / 岡本綺堂(著)
婆樣ばあさん上方者かみがたものですよ、ツルリンとしたかほ何處どつかに「間拔まぬけ狡猾かうくわつ」とでもつたやうなところがあつて、ペチヤクリ/\老爺ぢいさん氣嫌きげんとつましたね。
湯ヶ原ゆき (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
「のう、雪之丞、これは、そなたも、怠慢なまけてはいられませぬぞ。御歴々の御見物、一足の踏み違えでもあっては、お江戸の方々から、上方者かみがたものは、到らぬと、一口にわらわれましょう」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
これらよりもずっと著われたは安永二年菅専助すがせんすけ作『傾城恋飛脚けいせいこいのたより』で全国に知れ渡り、「忠兵衛ちゅうべえ上方者かみがたもので二分残し」とよまれた亀屋の亭主をしくじらせた北の新地槌屋の抱え梅川うめがわじゃ。
元来が上方者かみがたもの吝嗇家しまりやだったから、御殿奉公中からちょびちょび小金こがねを溜めて大分持っていたそうだ、しかしもうとしとしなので屋敷もひまを貰って自分は此処ここへ一軒あたらしく家を建てたが
暗夜の白髪 (新字新仮名) / 沼田一雅(著)
一人は上方者かみがたもの、ひとりは江戸っ子ですが、不思議に二人の気が合って、これから一緒に京大阪へ行ってひと稼ぎしようと約束していたので、藤吉は金蔵を捨てても行かれず
半七捕物帳:64 廻り灯籠 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)