三輪みのわ)” の例文
「時に、今日は例の悪食あくじきの御報告を兼ねて推参、ぜっぴおともが仰せつけられたい——ところは三輪みのわ町の金座——時間は正七ツ——」
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
二丁目の茶屋新四郎へ行つて見ると、三輪みのわの萬七が、子分のお神樂かぐらの清吉をつれて早くも駈け付け、血眼の調べの眞つ最中でした。
三輪みのわあたりに住まいして、わたしは内で針仕事。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
暗い田ン圃道を渡って、根岸から三輪みのわへ出た。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「それつ切りぢやありませんよ。あの仁八の野郎が、五百何十兩といふ大金を隱して置いたのを、三輪みのわの親分が嗅ぎ付けたんださうで」
「正七ツ、三輪みのわの金座——それは間違いないな」
大菩薩峠:37 恐山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「何? ガラッ八兄哥か、そいつは気の毒だ。三輪みのわの万七兄哥とは違うから、俺の仕事のあとをせせったところで手柄になるめえ」
親分、三輪みのわの萬七の子分、お神樂かぐらの清吉だらうぢやないか。——手前てめえの親分の平次は、三輪の繩張を荒して、事毎に恥をかゝせやがる。
「それっきり分りません。三輪みのわの万七親分は、店中の者を一人残らず縛った手際は、捕縄を扱い馴れた者の仕業だ——とおっしゃいましたが」
ちょうど御用のことで、同じ組屋敷に来合せていた三輪みのわの万七が、隣の部屋で、笹野新三郎と平次の話を、残らず盗み聴いてしまったのです。
「親分さん、本當に困つてしまひました。三輪みのわの親分はすつかり感違ひして、私の言ふことなどには耳も入れてくれません」
事件重大と見て、時を移さず八丁堀同心小間木こまき善十郎は、三輪みのわの万七、お神楽かぐらの清吉以下の御用聞を従えて出役しました。
間違いっこはねえ、もう三輪みのわの万七親分がやって来て、お寿を調べていますぜ——あんなにお政に頼まれたのに、少しの油断でやられましたよ。
「親分の縄張り内はろくな夫婦喧嘩もねえが、三輪みのわの万七親分の縄張りには、昨日ちょいとしたことがあったそうで」
三輪みのわの萬七を始め、日頃平次の手柄を心よく思はない江戸の競爭者達から、どんなに笑はれさげすまれたことでせう。
「そんなつまらない話じゃありません。ね親分、三輪みのわの万七親分が、背負い呉服屋の仁八を縛って行きましたよ」
山谷から三輪みのわに通ずる八丁の土手は、諸大名に命じてきづかせた荒川の水けで、これを日本堤と言つたのには、いろ/\の江戸人らしい傳説や附會があります。
山谷から三輪みのわに通ずる八丁の土手は、諸大名に命じてきずかせた荒川の水けで、これを日本堤と言ったのには、いろいろの江戸人らしい伝説や付会があります。
だって、口惜くやしいじゃありませんか。三輪みのわの万七親分が、先刻さっき昌平橋であっしの顔を見ると、いきなり
銭形平次捕物控:124 唖娘 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「落着いていちゃいけませんよ、親分。三輪みのわの万七親分が乗出して、小網町を小半日せせっていると思ったら、何に目星をつけたか、お半を縛って行きましたぜ」
ね、親分、相好ぐらいは崩したくなりますよ。三輪みのわの親分が風邪を引いて寝込んだのはいいが、縄張内に起ったことのさばきがつかなくなって、お神楽かぐらの野郎が泣きを
その間に、ちょうど花火の人込みを見廻っていた三輪みのわの万七と、お神楽かぐらの清吉が乗込んで来ました。
深刻になり行く騷ぎの中へ、ガラツ八を從へた錢形平次と、お神樂かぐらの清吉を從へた三輪みのわの萬七と、何と言ふことか、裏と表から、一緒に清川の敷居をまたいだのでした。
深刻になり行く騒ぎの中へ、ガラッ八を従えた銭形平次と、お神楽かぐら清吉せいきちを従えた三輪みのわの万七と、何ということか、裏と表から、一緒に清川の敷居をまたいだのでした。
先刻さっき三輪みのわの万七親分が来て誘拐かどわかしの疑いがあるとかおっしゃって、旦那に縄を打ってれて行きましたよ、——番頭さんも三人縛られましたが、どんな御用でしょう」
「へエー、親分が乘出すんですか。——三輪みのわの親分が氣をんで、見境みさかひもなく人を縛りますぜ」
その間に、丁度花火の人混みを見廻つてゐた三輪みのわの萬七と、お神樂かぐらの清吉が乘込んで來ました。
平次がこんな大事な舞台へ、代理として立たせてくれたのは、石原いしはらの利助や三輪みのわの万七といった、意地の悪い岡っ引の居ないところで、存分に腕を伸させるためでしょう。
三輪みのわの親分が、蝮の銅六を挙げて行ったよ。今頃は番所で調べているだろう。蝮と言われた男だから、どうせお白洲しらすで石でも抱かせなきゃ、素直に白状する野郎じゃあるめえ」
「ところが、三輪みのわの万七親分がやって来て、いきなり大工の金五郎を縛って行ったんだ」
事件のあったあくる日の昼頃、係り同心が町役人と一緒に引揚げた後で、お市の死体は奥の一と間へ寝かし、三輪みのわの万七という顔の古い御用聞が、二人の子分と、振舞酒ふるまいざけに酔って
手柄爭ひにばかり沒頭ぼつとうしてゐる中年者の御用聞三輪みのわの萬七とその子分のお神樂かぐらの清吉が、三河屋の伜敬太郎に腰繩を打つて、追つたてるやうに番所の方へ行くではありませんか。
三輪みのわの万七の子分、お神楽かぐらの清吉が、そんな事を言いながら、人を散らしております。
三輪みのわの万七親分が乗出したんだ。自分の縄張内がさんざん『疾風』に荒される時は知らん顔をしていて、神田へ河岸を変えると、やって来てお島に縄を打つなんざ心得たもんで」
が、物事はそんなうまい具合には行かず、錢形平次の代りに、事毎に平次と手柄爭ひをする、強引苛辣からつな岡つ引、三輪みのわの萬七親分が、子分のお神樂かぐらの清吉と共に乘込んで來ました。
銭形平次捕物控:311 鬼女 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
そこで、早速町方へ渡りが付いて、與力笹野新三郎が係りとなり、谷中から淺草一帶を繩張にしてゐる、三輪みのわの萬七を現場に走らせましたが、それだけでは何うも氣になつてなりません。
そこで、早速町方へ渡りがついて、与力よりき笹野新三郎が係りとなり、谷中から浅草一帯を縄張にしている、三輪みのわの万七を現場に走らせましたが、それだけではどうも気になってなりません。
この辺は三輪みのわの万七の縄張で、番所へつれて行くとうるさいと思ったのでしょう。真昼の木賃宿のがら明きなのを幸い、裏の小部屋を一つ借りて、おどおどする老巡礼に相対したのです。
「皆んな掛り合いだ、帰っちゃならねえよ。誰か、三輪みのわの親分を呼んで来い」
「あればかりは三輪みのわの親分が一と月越し血眼で捜しているが判りませんよ」
「今朝は検死が済んで、何もかも父が悪いことになり、遺書は三輪みのわの万七親分から、町方御役人の御手に差上げることになり、とむらいの済むのを待って、改めて御沙汰があるそうでございます」
「あツ、いけねえ、親分。三輪みのわの親分が、仲吉をしよつ引いて行きますぜ」
「あッ、いけねえ、親分。三輪みのわの親分が、仲吉をしょっ引いて行きますぜ」
「これだけでも、三輪みのわの親分なんかの耳に入ると、勇太郎を縛りますよ」
係同心漆戸うるしど忠内は、三輪みのわの萬七に、主人妹お松を縛らせましたが、これは本當に奉行所への申譯だけのことで、一と月經たないうちに、そつと許して歸すより外に手段もない始末だつたのです。
後ろから顔を出したのは、どうして嗅ぎ付けたか、三輪みのわ万七まんしちとお神楽かぐら清吉せいきち。お品は「しまった」と思いましたが、今さら病中の父親を連れて来るわけにもいかず、一人で気を揉んでおります。
「錢形の親分、この褒美はうびは、氣の毒だが、この三輪みのわの萬七が貰つたぜ」
二三人連れて行ったけれど、こね廻すだけで判りゃしません。そのうちに三輪みのわの親分の耳にでも入ったら、どうせ黙って見ちゃいないだろうし、——本当に八五郎さんが行って下さると助かりますよ
係り同心漆戸忠内は、三輪みのわの万七に、主人妹お松を縛らせましたが、これは本当に奉行所への申し訳だけのことで、一と月経たないうちに、そっと許して帰すより外に手段もない始末だったのです。
中年男の三輪みのわの萬七、續いてその子分のお神樂かぐら清吉せいきち、そして二三人の子分に守られて、繩付が二人、その一人は寶掘りの勸進元くわんじんもとで、よくない金儲けばかりやりたがる山の宿の喜三郎で、後の一人は