一眼いちがん)” の例文
左の眼が悪いときは、悪い方の眼は見えないから右の一眼いちがん前面ぜんめんを見ることになる。そのためには顔を正面に向けていたのでは、左の方が見えない。
間諜座事件 (新字新仮名) / 海野十三(著)
或夜文一郎はふとめて、かたわらしている女を見ると、一眼いちがんを大きく睜開みひらいて眠っている。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
三味線背負しょつた乞食坊主が、引掻ひっかくやうにもぞ/\と肩をゆすると、一眼いちがんひたとひた、めっかちの青ぶくれのかおを向けて、う、引傾ひっかたがつて、じっと紫玉の其のさまると、肩をいたつえさき
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
曳かれ来てうしろ振り向くうし一眼いちがん光る穂薄の風 (一二九頁)
文庫版『雀の卵』覚書 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
軒窗に一眼いちがんありて其れよりぞ
そんなわけだから、一眼いちがんになって異常な視神経の発達により、普通の人には到底とうてい見えない赤外線までが、アリアリと彼女の網膜もうまくにはえいずるようになったのだ。
赤外線男 (新字新仮名) / 海野十三(著)
首を引傾ひっかたむけた同じ方の一眼いちがんが白くどろんとしてつぶれて居る。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)