一昨日をとつひ)” の例文
一昨日をとつひばんよひくちに、まつのうらおもてに、ちら/\ともしびえたのを、海濱かいひん別莊べつさう花火はなびくのだといひ、いや狐火きつねびだともいつた。
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
新調の背廣姿を見上げ見下しされたのは、實に一昨日をとつひの秋風すずろに蒼古の市に吹き渡る穩やかな黄昏時たそがれどきであつた。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
一昨日をとつひの晩は越前屋の歸り、柳原でいきなり暗闇から白刄で突つかけられ、跣足はだしになつて逃げ出したし、昨夜は家へ押込みが入つて、すんでの事に寢首を掻かれるところだつたし
丁度一昨日をとつひの事であつた。正午前五分間と云ふ時、東の丘陵の巓に妙な物が見えた。
十三時 (新字旧仮名) / エドガー・アラン・ポー(著)
「山のかひそことも見えず一昨日をとつひも昨日も今日も雪の降れれば」(同・三九二四)を作り、大伴家持は、「大宮の内にもにも光るまでらす白雪見れど飽かぬかも」(同・三九二六)を作って居る。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
一昨日をとつひ
樹木とその葉:09 枯野の旅 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
新調の背広姿を見上げ見下しされたのは、実に一昨日をとつひの秋風すずろに蒼古の市に吹き渡る穏やかな黄昏時たそがれどきであつた。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)