“よせき”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
寄木50.0%
礜石50.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
下は左右を銀金具の抽出ひきだしに畳み卸してその四つ目が床に着く。床はくすの木の寄木よせき仮漆ヴァーニッシを掛けて、礼にかなわぬ靴の裏を、ともすれば危からしめんと、てらてらする。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
エルベがわ上流の雪消ゆきげにはちす葉のごとき氷塊、みどりの波にただようとき、王宮の新年はなばなしく、足もと危うき蝋磨ろうみがきの寄木よせきをふみ、国王のおん前近う進みて、正服うるわしき立ち姿を拝し
文づかい (新字新仮名) / 森鴎外(著)
「私から——ええ私から——私から誰かに上げます」と寄木よせきの机にもたせたひじねて、すっくり立ち上がる。紺と、濃い黄と、木賊とくさ海老茶えびちゃ棒縞ぼうじまが、棒のごとくそろって立ち上がる。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
円鈕ノッブを前に押しながら、開く戸に身を任せて、音なき両足を寄木よせきゆかに落した時、釘舌ボールトのかちゃりとね返る音がする。窓掛に春をさえぎる書斎は、薄暗く二人を、人の世から仕切った。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
うちへ帰っての毒薬を水飴の中へ入れてって見たが、思うようにいけません、どうしても粉が浮きます、綺麗な処へ礜石よせきの粉が浮いて居りますので
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
ついこの頃よく江戸の市中に売りに来るようになった『石見銀山鼠いわみぎんざんねずみとり』……石見国邇摩郡いわみのくににまのこおりの石見銀山の礜石よせきからつくった殺鼠剤ねずみとり、これがひとの口にはいると
顎十郎捕物帳:05 ねずみ (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
随分お大名にありました話で、只今なればモルヒネなどという劇剤もありますが、其の時分には何か鴆毒ちんどくとか、あるいは舶来の礜石よせきぐらいのところが、毒のはげしいところです。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
斑猫てえ虫をって水飴の中へ入れてくれろというお頼みでございます、初めは山路というお医者が、何とかいう、えゝ、礜石よせきとかいう薬を入れて練ったらと云うので練って見ましたが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)