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ひとつゝみ
殊勝らしく
聞えて
如何ですけれども、
道中、
宮、
社、
祠のある
處へは、
屹と
持合せた
藥の
中の、
何種のか、
一包づゝを
備へました。
「
十錢のを
二包、
二包ですよ——
可いかい。
其から、
十五錢のを
一包、
皆燒いたのをね。」
夕ぐれにフルヰアの媼歸りて、われに
一裹の
文書を
遞與して云ふやう。山々は
濕衾を
被きたるぞ。巣立するには、好き折なり。
往方は遙なるに、禿げたる巖の
面には
麪包の木生ふることなし。