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なすこと
預り歸りしが或日兩親の居ぬ
隙を
考へ右の文を
渡しければお高は
容體を改め
其方は主人の娘に
戀の
執持を
爲事不埓千萬なり
重ねて斯樣なる事をなさば
爲になるまいぞと
嚴敷辱しめて文を
歩行位なれば四郎右衞門
倩々考ふるに
斯爲事もなく茂兵衞方に居れども
渠も
貧窮の身ゆゑ
何卒少しにても茂兵衞の
資本を助け遣り
度と或時駿河屋三郎兵衞方へ到り
御亭主へ御目に
懸り
度と云を
も
手傳ひ給はらば此方も大に
仕合せなりと言にぞ吾助は打歡び
然らば仰の通り是より當分の内お
役には立まじきがお見世のお
手傳ひ仕つらんと是より桝屋方に
逗留して店の手傳ひなど
爲けるに元より
奸才に長し奴なれば手代の中に立
交り人の
爲事迄
己引取てする樣に
働くゆゑ久藏は吾助の立
振舞を