“ともろ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
艫櫓66.7%
舳櫓33.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
するとその時に廿歳はたちになっていたせがれの友太郎も、親父おやじが行くならというので艫櫓ともろを受持ってくれたから吾輩、ホッと安心したよ。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
父は九歳の時に遠賀おんが郡の芦屋あしやで、お祖父様の夜網打ちの艫櫓ともろを押したというから、相当水泳が上手であったらしい。
父杉山茂丸を語る (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そうしてその煙が消え失せた時には、半分水船みずぶねになった血まみれの小舟が、肉片のヘバリ付いた艫櫓ともろを引きずったまま、のた打ちまわる波紋の中に漂っていた。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その鼻の先の海面へ、友吉おやじの禿頭はげあたまが、忰に艫櫓ともろを押させながら、悠々と廻わって来た。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
舳櫓ともろを押せる船子ふなこあわてず、さわがず、舞上まいあげ、舞下まいさぐなみの呼吸をはかりて、浮きつ沈みつ、秘術を尽してぎたりしが、また一時ひときり暴増あれまさる風の下に、みあぐるばかりの高浪たかなみ立ちて
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
舳櫓ともろ船子ふなこは海上鎮護ちんごの神の御声みこえに気をふるい、やにわにをば立直して、曳々えいえい声をげてしければ、船は難無なんな風波ふうはしのぎて、今は我物なり、大権現だいごんげん冥護みょうごはあるぞ、と船子ふなこはたちまち力を得て
取舵 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)