艫櫓ともろ)” の例文
するとその時に廿歳はたちになっていたせがれの友太郎も、親父おやじが行くならというので艫櫓ともろを受持ってくれたから吾輩、ホッと安心したよ。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
父は九歳の時に遠賀おんが郡の芦屋あしやで、お祖父様の夜網打ちの艫櫓ともろを押したというから、相当水泳が上手であったらしい。
父杉山茂丸を語る (新字新仮名) / 夢野久作(著)
そうしてその煙が消え失せた時には、半分水船みずぶねになった血まみれの小舟が、肉片のヘバリ付いた艫櫓ともろを引きずったまま、のた打ちまわる波紋の中に漂っていた。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
その鼻の先の海面へ、友吉おやじの禿頭はげあたまが、忰に艫櫓ともろを押させながら、悠々と廻わって来た。
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)