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てじやく
と
蜀江の
錦、
呉漢の
綾、
足利絹もものともしないで、「よそぢや、この
時節、
一本お
燗でもないからね、ビールさ。
久しぶりでいゝ
心持だ。」と
熱燗を
手酌で
傾けて
富岡は、むつくり起きて、冷えた徳利の酒を、
手酌で盃についだ。
と、
海が
凪いだ
後を、ぶる/\
震へる
波のやうな
畳の
上に、
男だか
女だか、
二人ばかり
打上げられた
躰で、
黒く
成つて
突伏した
真中に、
手酌でチビリ/\
飲つて
居た
亭主が、むつくり
頭を
上げて