-
トップ
>
-
しばごや
と、
画工さん、三
浦さんがばた/\と
出た、その
自動車が、
柴小屋を
小さく
背景にして
真直に
着くと、
吹降を
厭つた
私たちの
自動車も、じり/\と
把手を
縦に
寄つた。
雲は
黒髪の
如く
野に
捌けて、
棟を
絡ひ、
檐に
乱るゝとゝもに、
向うの
山裾に、ひとつ、ぽつんと
見える、
柴小屋の
茅屋根に、
薄く
雨脚が
掛かつて、
下草に
裾をぼかしつゝ
歩行くやうに、
次第に
此方へ