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さつて
扨も重四郎は
幸手を立出で一先江戸表へ來りて
處々を
見物なさんと十五六日も
逗留して上野淺草吉原兩國芝増上寺
其外處々を
見歩行或日又本町通りを
見れば扇子一本
落てあり藤兵衞手に取あげ
能々見るに
鐵扇にて親骨に
杉田三五郎と
彫付有りし故掃部大いに
怒り然らば是は
幸手の三五郎が
所業に
違無し今西の方へ
駈出して
行人影を
打けるにウンと言て其
儘悶絶なせしかば茂助は驚き
先生苛酷ことをされたり夫では爰には居ぬに
違ひも有めへ
敵は
幸手の三五郎と知れて
居からは先々親分の死骸を葬り相手に油斷を