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ぎぼしゆ
其
葉には、
放肆な
白い
縞が、
三筋か
四筋、
長く
乱れてゐた。代助が見るたびに、
擬宝珠の
葉は
延びて行く様に思はれた。さうして、それと共に
白い
縞も、自由に拘束なく、
延びる様な気がした。
代助は
父に
呼ばれてから二三日の
間、
庭の
隅に咲いた
薔薇の
花の
赤いのを見るたびに、それが
点々として
眼を
刺してならなかつた。其時は、いつでも、
手水鉢の
傍にある、
擬宝珠の
葉に
眼を
移した。
擬宝珠の
葉も長く見詰めてゐると、すぐ
厭になる位であつた。