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うはのり
得られたれば
此度旦那の
仰に
別家でも出し
遣すべきか幸ひ天神丸の
新艘卸なれば其方
上乘して大坂へなり又は江戸へなり
勝手な所で一
旗揚べしとて手元金として七百兩を
欺き天神丸の
上乘して
上方筋へ
赴かんと
胸に
巧み足を早めて西濱に
到ければ天神丸ははや
乘出さん時なり吉兵衞は
大音上オヽイ/\と船を
招けば
船頭杢右衞門が聞つけ何事ならんと
端舟を
企つるには
金子なくては
叶ふまじと此度金七百兩を
掠め取り
出奔なし船頭
杢右衞門を
誑りて天神丸の
上乘し
不慮の難に
遇て此處まで來れる事の
一伍一什を
虚實を
交へて語りければさしもの兩人も舌を