光線こうせん)” の例文
光線こうせんをそそぐがごとくピラピラピラピラ! と吹きつけてきて竹童の目、竹童の耳、竹童の毛穴けあな、ところきらわずつきさッた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
するとせまみちうえへ、片側かたがわちいさな店先みせさきから、紫色むらさきいろ光線こうせんがもれてきて、あるひとところだけ紫色むらさきいろつちうえいろどっていました。
気まぐれの人形師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
すみからすみまでからりとあかるく、ひろそらつてゐるあき光線こうせんのさしてゐるうちに、かりわたつてくといふうたです。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
たゞこの博物館はくぶつかんむかしものをそのまゝ使つかつてゐるので、光線こうせん工合ぐあひすこしくわるいのが缺點けつてんともいへるでせう。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
たとえば、われわれが赤いぬのをみるとするね。赤くみえるのは、太陽たいよう光線こうせんのなかで赤い色のところだけをぬの反射はんしゃして、あとの色はみんないこんでしまうからなんだ。
ぎらぎらする太陽たいよう光線こうせんが、人かげのないグラウンドに、白くはねかえっていた。
星野くんの二塁打 (新字新仮名) / 吉田甲子太郎(著)
このごろ、をかいてみたいというがおこったので、こうしているも、ものものとの関係かんけいや、光線こうせん色彩しきさいなどを、注意ちゅういするようになりました。
道の上で見た話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
事実じじつ、よくよく目をあらためてみるとそれは星にて星の光ではなく、屋根うらの隙間すきま節穴ふしあなが、あかるい空の光線こうせんをすかして、星のように見えたのであった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
くさおどろいて、その黄金こがねけてながれたような光線こうせんていますと、やがてそのひかりは、あか青木あおきえつきました。
小さな草と太陽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
時に、光線こうせんのかげんで、そのまッ黒なつばさのつやるような金色きんいろひとみまでがありありと見えた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また一つのまどからは、うすい桃色ももいろ光線こうせんがもれて、みちちて敷石しきいしうえいろどっていました。よい音色ねいろは、このいえなかからこえてきたのであります。
青い時計台 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのあおいろは、みずいろのようにも、またそらいろのようにも、ときには、うみいろのようにも、光線こうせん具合ぐあいで、それは、それは、うつくしくえたのであります。
青いボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
むすめは、その光線こうせんがどこからどういうふうにもれてくるのであろうかと、おもわず、みせほうっていって、いろガラスでられたまど内部なかをのぞいてみました。
気まぐれの人形師 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さけあぶらのにおいが、周囲しゅういかべや、器物きぶつにしみついていて、よごれたガラスまどから光線こうせんにぶうえに、たばこのけむりで、いつも空気くうきがどんよりとしていました。
風はささやく (新字新仮名) / 小川未明(著)
おとこは、うすぐらくなった光線こうせんのうえで、はこうえにのせてあったぜにげて、しらべてました。
火を点ず (新字新仮名) / 小川未明(著)
こういたとき、ぼくあたまなかひとすじの金色きんいろあかるい光線こうせんが、てんからさしこんだようながしました。
世の中のために (新字新仮名) / 小川未明(著)
たとえいのちてるようなことがあっても、それをしまないとおもいましたから、ただ一人ひとりで、そのくらい、わずかにこわれかかったまどからさしこむ、光線こうせんをたよりとして
黒い塔 (新字新仮名) / 小川未明(著)
くもをもれて、おりおり、見渡みわたすかぎりの自然しぜんうえへ、太陽たいよう光線こうせんは、虎斑こはんのようなしまめをえがいています。そして、どこともなくあちらのほうから、にぶなみおとがきこえてきました。
死と話した人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
高窓たかまどいろガラスからながれる、むらさきや、あお光線こうせんは、不思議ふしぎゆめくにおもわせました。
鳥鳴く朝のちい子ちゃん (新字新仮名) / 小川未明(著)
あか夕空ゆうぞらしたに、工場こうじょう煙突えんとつがたくさんたっている、近代的きんだいてきまち風景ふうけいとか、だいだいいろ太陽たいようえるおかに、光線こうせんなみうつ果樹園かじゅえんとか、さもなければ、はてしない紺碧こんぺきうみをいく
兄の声 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ごみばこなかで、お人形にんぎょうは、黄色きいろなみかんのかわや、あかいりんごのかわや、また、さかなほねや、しろかみくずや、ちゃがらなどといっしょにいましたが、もとよりはこなかには、光線こうせんがささないから
風の寒い世の中へ (新字新仮名) / 小川未明(著)
どの病室びょうしつにも、顔色かおいろわる患者かんじゃが、ベッドのうえよこたわったり、あるいは、すわったりして、さも怠屈たいくつそうに、やがてれかかろうとする、窓際まどぎわ光線こうせん希望きぼうなくつめているのでした。
雲と子守歌 (新字新仮名) / 小川未明(著)
あとには、ただ、永久えいきゅうに、あおそらいろんでいました。そして、たなのなかには、ねずみをいた、金粉きんぷんひかりあわ利助りすけのさかずきが、どんよりとした光線こうせんなかにまどろんでいるのでした。
さかずきの輪廻 (新字新仮名) / 小川未明(著)
つき光線こうせんは、身軽みがるにどんなせまいところへもくぐりみました。またどんなもののうえへもはいまわりました。こうして乞食こじきは、つきたすけによって、たくさんの宝物たからものひろあつめることができました。
塩を載せた船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、ひとすじのほそ光線こうせんが、そらからむねきさしたごとくかんじて、真心まごころさえあれば、龍夫たつおんだおとうさんにあえたであろうように、源吉げんきちはいつでも台風たいふうには龍夫たつおにあえるとしんじたのでした。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)