“虎斑”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
とらふ72.0%
とらぶち16.0%
こはん4.0%
とらまだら4.0%
ぶち4.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そこには、床柱の前にお寺さんに出すやうな厚ぽつたい綸子りんずの座蒲団だの、虎斑とらふの桑材で出来た煙草盆などが用意されてあつた。
医師高間房一氏 (新字旧仮名) / 田畑修一郎(著)
机の兩端には一つ一つ硯が出てゐるのであつたが、大抵は虎斑とらぶちか黒の石なのに、藤野さんだけは、何石なのか紫色であつた。
二筋の血 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
くもをもれて、おりおり、見渡みわたすかぎりの自然しぜんうえへ、太陽たいよう光線こうせんは、虎斑こはんのようなしまめをえがいています。そして、どこともなくあちらのほうから、にぶなみおとがきこえてきました。
死と話した人 (新字新仮名) / 小川未明(著)
全体が薄樺うすかばで、黄色いぶちがむらむらして、流れのままに出たり、消えたり、結んだり、解けたり、どんよりと濁肉にごりじしの、半ば、水なりに透き通るのは、これなん、別のものではない、虎斑とらまだら海月くらげである。
海の使者 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
応接間の構造は流石さすがに当市でも一流どころだけあって実に見事なものであった。天井裏から下った銀と硝子ガラスの森林みたような花電燈。それから黒虎斑ぶちの這入った石造の大煖炉だんろ。理髪屋式の大鏡。
超人鬚野博士 (新字新仮名) / 夢野久作(著)