)” の例文
ぽんの大きな木の、うつろになった中にはいって、いぬどもを木のまわりにあつめて、たくさんたきをして、そのばんねむることにしました。
忠義な犬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
これをおきになった、おうさまは、ふかうれいにしずまれました。いつしかかがりえて、管弦かんげんんでしまったのでございます。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
眞正面まつしやうめんに、凹字形あふじけいおほきたてものが、眞白まつしろ大軍艦だいぐんかんのやうに朦朧もうろうとしてあらはれました。とると、あやは、なんと、ツツツときつゝ。
雪霊続記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
宵闇の深くならぬ間に、いほりのまはりは、すつかり手入れがせられた。燈台も大きなのを、寺から借りて来て、煌々と油が燃えて居る。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
廣間ひろまのともしともつてゐたので、手摺てすりの上から見下したり、召使達が往つたり來たりするのを眺めたりすることは、彼女を喜ばせた。
わけて、お燕が、ふと「父」ということばでも洩らそうものなら、かの女の、呪咀のうずは、すぐ炎になって、全身をいた。
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
部屋へ戻って、寝衣に着替え、もういちど火鉢のうずをみてから、夜具の中へはいり、読みかけの「松代物語まつしろものがたり」というよみ本をひろげた。
五瓣の椿 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
月はだんだん光を増して行って、電灯にもともっていた。目の先に見える屋根の間からは、炊煙だか、蚊遣かやだかがうっすらと水のように澄みわたった空に消えて行く。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
あぶらひかりゆるかづら百合ゆりの花のまはしきかも 〔巻十八・四〇八六〕 大伴家持
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
はるからなつにかけてやまゆきえたころが、この山火事やまかじ一番いちばんおほときで、煙草たばこがらや、たきをしたひとのちよっとした不注意ふちゆういで、百年ひやくねんかゝつて出來上できあがつた森林しんりん數時間すうじかんもたゝないあひだ
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
が、その中にたった一点、沖のいさのように赤く小さくまたたくものがある。
母を恋うる記 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
いつたいだれでも運勢うんせいかたむいてくると、自然しぜんとじたばたしすのは人情にんじやうしからしむるところだが、五だん里見弴さとみとん紙入かみいれからお守札まもりふだならす、四だん古川緑波ふるかはりよくははシガアレツト・ライタアでをする。
麻雀を語る (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
あまり待ち遠だつたので左の耳のあたりにつかねた髮にしていた清らかな櫛の太い齒を一本いて一ぽんとぼして入つて御覽になるとうじいてごろごろと鳴つており、頭には大きな雷が居
揺れあがる一つほたる息つかししとどの雨か降り小止をやみたる (六六頁)
文庫版『雀の卵』覚書 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
色気狂いろけぐるいが色情狂だよ。人を殺せば殺人狂です。舞踏狂なら踊りを踊るの。放火狂ならをするのと。何の科学で調べた事かや。わかり切ったる名前の附け方。医者でなくとも誰でも附けます。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
「三村屋もだつてえぢやないか」
ともし風をしのぶ紅粉皿べにさら 叩端こうたん
木綿以前の事 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
熟白英うみほろし、——ぬるしづく、——
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
ひとつの影にもはじ。
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
とつぜん、自分の中のうずがあげた炎に、どうにも寝つかれない寝返りを、いくどとなくしている高氏としか見られなかった。
私本太平記:07 千早帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しげちゃんのにいさんが、ぼうさきで、たきをつついていました。あおけむり自分じぶんほうながれるので、かおをしかめています。
雪の降った日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
夕飯ゆうはんがすむと、ぼうさんは炉端ろばたすわって、たきにあたりながら、いろいろたびはなしをしますと、おばあさんはいちいちうなずいてきながら、せっせと糸車いとぐるままわしていました。
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
かれ左の御髻みみづらに刺させる湯津爪櫛ゆつつまぐし一二の男柱一箇ひとつ取りきて、ひとともして入り見たまふ時に、うじたかれころろぎて一三、頭には大雷おほいかづち居り、胸にはの雷居り、腹には黒雷居り、ほとにはさく雷居り
ひとのさみどりの蛍息づきあかり雨しとどふりし闇を今あがる
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
へびはぬるのかつえて
白羊宮 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫薄田淳介(著)
あぶら
春鳥集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
石権が指さすので、そこをのぞいてみると、小屋の背なかが半焦はんこげになっている。をしたあとが明らかに分る。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「ごらんよ、おんながあんなことをしている。乞食こじきなんだね。」と、さきのついたとしちゃんが、いったので、たきにあたっているものが、みんなそのほうきました。
雪の降った日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
「どうして、とんでもない。たびの人にかるものではない。まあまあ、なんにもごちそうのない一つのことだから、せめてたきでもごちそうのうちだとおもってもらいましょう。」
安達が原 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
雷火らいか炸裂さくれつは、詭計きけいでもなんでもない。怪人かいじん呂宋兵衛るそんべえが、ふところにめておいた一かい強薬ごうやくを、祭壇さいだんに燃えのこっていたろうそくへ投げつけたのだ。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おおきく、ぴかぴかと、しろびかりをするものや、また、じっとして、あかかがやいているものや、また、かすかに、ちいさく、ほたるのようにひかっているものなどがありました。
木に上った子供 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ぼんやりのこっているたきあかりにすかしてみますと、中でいちばんかしこい、獲物えものることの上手じょうずいぬが、のまわりをぐるぐるまわりながら、気違きちがいのようになってほえてていました。
忠義な犬 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
やや戸まどいのていだったが、やがて、その煙が、人家のないお茶の水の崖ぷちからだと知れて、それッ、あやだとばかり、皆そのほうへなだれていった。
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さあ、おうちはいろう。」と、おじいさんが、まずたきのそばからはなれると、しげちゃんのにいさんが、つづいてり、みんながばらばらになって、おうちほうはししました。
雪の降った日 (新字新仮名) / 小川未明(著)
垣の外には、たくさんなかがが、バチバチと赤い火をハゼている。つい昼まで、ここの錦旗を守って近衛このえしていた僧兵らも、どこへ行ったか影もなかった。
私本太平記:04 帝獄帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのうちにれてしまいました。御殿ごてんひろ庭頭にわさきには、かがりがたかれました。そのほのおかげは、このあやしのうらなしゃらし、そらがすかとおもわれるばかりにあかえました。
北海の白鳥 (新字新仮名) / 小川未明(著)
遠くに、赤い鉄脚のともが見える。いないようだ。官兵衛はそう見すましてからまた、窓の下まで這った。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いぶせき老婆、すすだらけな壁、うずのような夜の燈火。ああ耐えられない穴ぐらだと思う。これが自分に与えられた宿命の穴ぐらなのか。そんなはずはない。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その多くは放火であり、なかでも顕著けんちょなのは、三月十四日の夜半、尊氏の御池殿の全館が、焼亡したことである。まったくのあやで、出火の原因も不明だった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あたりは夜営せきとして、陣幕とばりとおす外のかがが、かすかな明りを二人の間に見せているだけだった。
私本太平記:10 風花帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
どれ程なときた後だろうか、ふと眼をさましてみると、枕元には静かなともがともっているのみで、宿の者の跫音あしおとも聞えず、宿直とのいの太兵衛、善助の影も見えず
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こう冷たくかたくなに思い込んで来た旗岡巡査は、突然、十数年のうずを掻き立てられるように、まぶたを赤くし、今にも声をあげて泣くかのように顔の筋をぶるぶると吊った。
旗岡巡査 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
むしろうずとなった覇気はき一ぱいな、ご健康ぶりでさえあったが、都万の漁村からこっちは、妃たちとも侍者とも船をべつにされ、海上は後醍醐おひとりであったからだ。
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
とは思いながらも、今は、それへ灰をかぶせて、うずの程度にしておけばいい。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
不二形ふじがたに盛りあげたうずの白い灰には、灰掻はいかきの目が正しくいてあった。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
流言蜚語りゅうげんひごの出所も、皆そこからだし、、強盗、橋杭はしぐいり倒しなど、眼に余るものがある。すべて信長の政治方針が招いた世相の悪化の如く見せかけるのが、彼らの狙いどころだった。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
茶杓ちゃしゃく茶碗ちゃわんを守り神のように持たせ、一の中をじっと見つめて、その途方もない夢や太骨へ灰をかぶせて、うずのように無事に、静かに一生涯を全うするようにお育てなさるがよい——と
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
清水寺に、原因不明の、あやがあったりした。
「なんでも、あやだという噂ですがね」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かが談議だんぎ