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存分
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ぞんぶん
ふりがな文庫
“
存分
(
ぞんぶん
)” の例文
と
平生
(
へいぜい
)
から
嘲
(
あざけ
)
るものは
嘲
(
あざけ
)
るが、
心優
(
こゝろやさ
)
しい
衣絵
(
きぬゑ
)
さんは、それでも
気
(
き
)
の
毒
(
どく
)
がつて、
存分
(
ぞんぶん
)
に
沸
(
わ
)
かして
飲
(
の
)
むやうにと
言
(
い
)
つた
厚情
(
こゝろざし
)
なのであつた。
銀鼎
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ツンとした瑛子は、赤い燃え立つような絹のブラウスを着て
存分
(
ぞんぶん
)
に明けっ放しな顔に、老人の時代錯誤を
愍
(
あわれ
)
むような笑が浮びます。
死の予告
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
犬
(
いぬ
)
の
皮
(
かわ
)
をかぶって、おせんの
裸
(
はだか
)
を
思
(
おも
)
う
存分
(
ぞんぶん
)
見
(
み
)
た
上
(
うえ
)
に
写
(
うつ
)
し
取
(
と
)
って
来
(
く
)
るなんざ、
素人
(
しろうと
)
にゃ、
鯱鉾立
(
しゃちほこだち
)
をしても、
考
(
かんが
)
えられる
芸
(
げい
)
じゃねえッてのよ
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
しかるに
言
(
い
)
おうと
云
(
い
)
う
望
(
のぞみ
)
は、
終
(
つい
)
に
消
(
き
)
えず
忽
(
たちまち
)
にして
総
(
すべて
)
の
考
(
かんがえ
)
を
圧去
(
あっしさ
)
って、こんどは
思
(
おも
)
う
存分
(
ぞんぶん
)
、
熱切
(
ねっせつ
)
に、
夢中
(
むちゅう
)
の
有様
(
ありさま
)
で、
言
(
ことば
)
が
迸
(
ほとばし
)
り
出
(
で
)
る。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
「どうだい、これは、
自分
(
じぶん
)
はまあ
何
(
なん
)
といふ
幸福者
(
しあはせもの
)
だらう。こんやは、それこそ
思
(
おも
)
ふ
存分
(
ぞんぶん
)
、
腹
(
はら
)
一
杯
(
ぱい
)
うまい
生血
(
いきち
)
にありつける
譯
(
わけ
)
だ」
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
▼ もっと見る
そこで余等も馬に
劣
(
おと
)
らじと
鼻孔
(
びこう
)
を開いて初秋高原清爽の気を
存分
(
ぞんぶん
)
に
吸
(
す
)
いつゝ、或は関翁と打語らい、或は
黙
(
もく
)
して
四辺
(
あたり
)
の景色を眺めつゝ行く。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
だんだんと嫌疑が鈴江の方に向いて来るような
途
(
みち
)
をとらせ、思う
存分
(
ぞんぶん
)
、鈴江を脅迫し恐怖させた上で、最後に
惨殺
(
ざんさつ
)
してやろうと思ったのである。
電気看板の神経
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
其
(
そ
)
の
草
(
くさ
)
も
更
(
さら
)
に
土
(
つち
)
から
刈
(
か
)
つて
行
(
ゆ
)
くので
次第
(
しだい
)
に
土
(
つち
)
が
痩
(
や
)
せて
行
(
ゆ
)
く。だから
空手
(
からて
)
では
何處
(
どこ
)
へ
行
(
い
)
つても
竊取
(
せつしゆ
)
せざる
限
(
かぎり
)
は
存分
(
ぞんぶん
)
に
軟
(
やはら
)
かな
草
(
くさ
)
を
刈
(
か
)
ることは
出來
(
でき
)
ない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「朱泥は呈上
可仕候
(
つかまつるべくそうろう
)
唐墨の方は進呈
致兼候
(
いたしかねそうろう
)
間
(
あいだ
)
存分
(
ぞんぶん
)
御
(
ご
)
試用の後御返送を
願上候
(
ねがいあげそうろう
)
」というのである。当然のことである。
南画を描く話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
それから
後見
(
こうけん
)
に
附
(
つ
)
けて
貰
(
もら
)
うて、
覺束無
(
おぼつかな
)
げに
例
(
れい
)
の
入場
(
にふぢゃう
)
の
長白
(
つらね
)
を
述
(
の
)
べるのも
嬉
(
うれ
)
しう
無
(
な
)
い。
先方
(
さき
)
が
如何
(
どう
)
思
(
おも
)
はうとも、
此方
(
こっち
)
は
此方
(
こっち
)
で、
思
(
おも
)
ふ
存分
(
ぞんぶん
)
に
踊
(
をど
)
りぬいて
還
(
かへ
)
らう。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「じぶんで乗りこんで、いいたいことを
存分
(
ぞんぶん
)
に言ってやるがいいのさ。今からあたしが案内してあげよう!」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
お医者さんはそこいらじゅうの評判になって、
名医
(
めいい
)
ともてはやされ、お金も思う
存分
(
ぞんぶん
)
とりこみました。
死神の名づけ親(第二話)
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
いなかでは思う
存分
(
ぞんぶん
)
の修行ができぬので、かれはロンドンへでて、当時外科医として、第一人者に数えられていたジョン・ハンター
博士
(
はかせ
)
のもとに弟子入りをしました。
ジェンナー伝
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
御出しなさいとは
傍
(
はた
)
からも云れぬなり若旦那にも存じ寄りありと
云
(
いは
)
れし故
右
(
と
)
にも
左
(
かく
)
にも離縁状は出されぬから何れとも御前方の
存分
(
ぞんぶん
)
になさるが
能
(
よい
)
と
聲
(
こゑ
)
荒
(
あら
)
らかに
云放
(
いひはな
)
したり
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
はちは、つい
降
(
お
)
りる
気
(
き
)
になって、そのばらの
上
(
うえ
)
へとまり、いい
香
(
にお
)
いを
思
(
おも
)
う
存分
(
ぞんぶん
)
吸
(
す
)
うことにしました。クリーム
色
(
いろ
)
の
美
(
うつく
)
しい
花
(
はな
)
は、なんの
心配
(
しんぱい
)
もなさそうに、
愉快
(
ゆかい
)
げに
見
(
み
)
えます。
はちとばらの花
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
云うまでもなく、それは、向うの窓の黄色い顔の奴に、僕がそこにいることを知らせる為ですが、僕の方からは、決してうしろを振向かぬ様にして、相手に
存分
(
ぞんぶん
)
隙を与える
工風
(
くふう
)
をしました。
目羅博士の不思議な犯罪
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
泣くことなら、あす、きみのでていったあとで、
存分
(
ぞんぶん
)
に泣けるからな。
旅なかま
(新字新仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
お殿様のお申しつけでは、
存分
(
ぞんぶん
)
にお
寛
(
くつろ
)
がせ申せということでございました、もっとお寛ぎくださいませ。そんなふうに四角にお坐りになっていられたのでは、お寛がせ申したことにはなりません。
顎十郎捕物帳:16 菊香水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
してまた
漠
(
ばく
)
たる
撫
(
なで
)
さすりで、わたしを
存分
(
ぞんぶん
)
に
裂
(
さ
)
いておくれ。
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
思ふ
存分
(
ぞんぶん
)
叱
(
しか
)
りつくる人あれと思ふ。
悲しき玩具
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
然
(
しか
)
るに
言
(
い
)
はうと
云
(
い
)
ふ
望
(
のぞみ
)
は、
終
(
つひ
)
に
消
(
き
)
えず
忽
(
たちまち
)
にして
總
(
すべて
)
の
考
(
かんがへ
)
を
壓去
(
あつしさ
)
つて、
此度
(
こんど
)
は
思
(
おも
)
ふ
存分
(
ぞんぶん
)
、
熱切
(
ねつせつ
)
に、
夢中
(
むちゆう
)
の
有樣
(
ありさま
)
で、
言
(
ことば
)
が
迸
(
ほとばし
)
り
出
(
で
)
る。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
彼等
(
かれら
)
は
更
(
さら
)
に
春
(
はる
)
の
到
(
いた
)
つたことを一
切
(
さい
)
の
生物
(
せいぶつ
)
に
向
(
むか
)
つて
促
(
うなが
)
す。
草
(
くさ
)
や
木
(
き
)
が
心
(
こゝろ
)
づいて
其
(
そ
)
の
活力
(
くわつりよく
)
を
存分
(
ぞんぶん
)
に
發揮
(
はつき
)
するのを
見
(
み
)
ないうちは
鳴
(
な
)
くことを
止
(
や
)
めまいと
努
(
つと
)
める。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
勲章など貰っても、持って帰るのに
面倒
(
めんどう
)
だから、いやじゃ。それよりも、
当国
(
とうごく
)
逗留中
(
とうりゅうちゅう
)
は、イギリス製のウィスキーを思う
存分
(
ぞんぶん
)
呑
(
の
)
ませてくれればそれでよろしい。
独本土上陸作戦:――金博士シリーズ・3――
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
ロミオ あゝ/\!
戀
(
こひ
)
めは
始終
(
しゞゅう
)
目隱
(
めかく
)
しをしてゐて、
目
(
め
)
は
無
(
な
)
けれども
存分
(
ぞんぶん
)
其
(
その
)
的
(
まと
)
をば
射
(
い
)
とめをる!……え
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
だがね、親分、繪を描いただけでさへ、あんなにいゝ心持なんだから、此方から金を出しても、あの羽二重のやうな肌へ、
存分
(
ぞんぶん
)
な
圖柄
(
づがら
)
で
彫
(
ほ
)
つて見たいと思ひましたよ
銭形平次捕物控:007 お珊文身調べ
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
存分
(
ぞんぶん
)
に取り締ることも処分することも出来るし、また、それが大目附の役儀でもあるのだが、やれ少々膝をくずしたの、雑談をしていたの、
欠伸
(
あくび
)
をしたのということは
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
ばかな、この
大
(
おお
)
きなくまに
思
(
おも
)
う
存分
(
ぞんぶん
)
、
酒
(
さけ
)
を
飲
(
の
)
ませるなんて、そんな
酒
(
さけ
)
がどこにあるか。
神
(
かみ
)
さまは、この
瀬戸際
(
せとぎわ
)
で、
俺
(
おれ
)
が、どれほどの
智恵者
(
ちえしゃ
)
であるか、おためしなされたのだ。
深山の秋
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
今夜こそ思ふ
存分
(
ぞんぶん
)
泣いてみむと
一握の砂
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
諸君
(
しょくん
)
は、なんという
幸福者
(
こうふくもの
)
だ。じつに、いいときに
生
(
う
)
まれて、
天皇陛下
(
てんのうへいか
)
のために、お
国
(
くに
)
のために、つくすことができるのだぞ。
喜
(
よろこ
)
んで
勇
(
いさ
)
んで、
思
(
おも
)
う
存分
(
ぞんぶん
)
な
働
(
はたら
)
きをしてもらいたい。
からす
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
季節
(
きせつ
)
が
熟
(
じゆく
)
さねば
收穫
(
しうくわく
)
の
多量
(
たりやう
)
を
望
(
のぞ
)
むことが
出來
(
でき
)
ないので、
彼等
(
かれら
)
が
食料
(
しよくれう
)
として
畑
(
はたけ
)
へ
手
(
て
)
をつけるのは
凡
(
すべ
)
てが
存分
(
ぞんぶん
)
の
生育
(
せいいく
)
を
遂
(
と
)
げた
後
(
あと
)
でなければならぬ。
其處
(
そこ
)
が
相互
(
さうご
)
に
盜
(
ぬす
)
むものをして
乘
(
じよう
)
ぜしめる
機會
(
きくわい
)
である。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
ヂュリ
返
(
かへ
)
らぬことゝ
思
(
おも
)
うても、
存分
(
ぞんぶん
)
に
泣
(
な
)
かいではをられぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
“存分”の意味
《名詞》
存分(ぞんぶん)
思いのまま。満足。思い通り。充分。接続助詞的、副詞的にも用いられる。
(context、dated)考え。意見。
(context、dated)恨み。遺恨。
《形容動詞》
思いのままのさま。満足なさま。思い通りのさま。
(出典:Wiktionary)
存
常用漢字
小6
部首:⼦
6画
分
常用漢字
小2
部首:⼑
4画
“存”で始まる語句
存
存在
存外
存生
存候
存命
存生中
存知
存寄
存念