味方みかた)” の例文
「きっと太郎たろううみのあっちへいって、自分じぶん味方みかたれてくるんだろう。そして、かたきうちをするんだろう。そうするとおそろしいな。」
雪の国と太郎 (新字新仮名) / 小川未明(著)
いま、役人がしさいを書きあげているが、味方みかたりすてられた者二十四、五名、手負ておいは五十名をくだるまいとのことでござった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
には木陰こかげけてしんみりとたがひむね反覆くりかへとき繁茂はんもしたかきくり彼等かれらゆゐ一の味方みかた月夜つきよでさへふか陰翳かげ安全あんぜん彼等かれらつゝむ。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
しかるに味方みかたの過半数を斬られて一人も逃げず一歩も引かない、この分では最後の一人が斃れるまでこの斬合いは続くであろう。
おやたれれば子がすすみ、子がたれればおやがつづくというふうに、味方みかた死骸しがいえ、え、どこまでも、どこまでもすすんでます。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
世界中せかいじゅう人々ひとびとがみなおたがいあいしあい、そして力強ちからづよきてゆくこと、それがかれ理想りそうであり、そしてかれはいつも平和へいわ自由じゆう民衆みんしゅうとの味方みかたであります。
ジャン・クリストフ (新字新仮名) / ロマン・ロラン(著)
人の噂に味方みかた敗北はいぼくを聞くごとに、無念むねんさ、もどかしさに耐へ得ず、雙の腕をやくして法體ほつたいの今更變へ難きを恨むのみ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
明かせば、いまだに左膳へ対して抱いている恋心こいごころから、姐御あねごは、さっそく左膳のほうへ味方みかたをするにきまっている。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
「そりゃそうだ、ね」高見さんは両のひざを両手で抱いていながら、こちらの味方みかたらしく言った。「この人の臨機応変りんきおうへんの皮肉や冷かしと来たら、ずいぶん痛快ですよ」
猫八 (新字新仮名) / 岩野泡鳴(著)
そのあぶないことといったらありません。鉄砲てっぽうのたまが、まめのようにバラバラふってきて、味方みかたのものはあっちでもこっちでも、ばったばったとたおれるありさまです。
ブツと咽喉のどふくらまして、ぐるりとまるくしてはらつもの……ふな味方みかたらうもれない。
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此年ことし二三享徳きやうとくの夏、二四鎌倉の御所ごしよ成氏朝臣しげうぢあそん二五管領くわんれい上杉うへすぎと御中けて、みたちひやう火に跡なく滅びければ、御所は二六総州そうしうの御味方みかたへ落ちさせ給ふより、関の東たちまちに乱れて
長吉ちようきち門前もんぜん産聲うぶごゑげしものと大和尚夫婦だいおしようふうふ贔屓ひゐきもあり、おな學校がくかうへかよへば私立しりつ私立しりつとけなされるもこゝろわるきに、元來ぐわんらい愛敬あいけうのなき長吉ちようきちなればこゝろから味方みかたにつくものもなきあはれさ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
それにはバッジのほかに、いろいろの使いみちがあって、いまのように、団員があぶない場所へはいるとき、そのいりくちに、ばらまいておいて、味方みかたに知らせるという、使いかたもあるのです。
怪人と少年探偵 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
けれどきみたちは金持かねもちや、金持かねもち味方みかた詩人しじんやまたそいつらといつしよに貧乏人びんぼふにん馬鹿ばかにしてゐるやつらのやうに、このおぢさんの童謠うたを一も二もなく、あたまからバカにし、惡口わるくちなんかはないだらう。
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
何かにつけて新吉の味方みかたになり、新吉がまっ黒けになって、朝から夜おそくまではたらかせられているときは、なみだを流して同情どうじょうし、新吉の手にあまるつらい仕事は、かげながら手伝てつだってくれたのでした。
曲馬団の「トッテンカン」 (新字新仮名) / 下村千秋(著)
「これはえらひとだぜ。ただしい、まずしいひと味方みかたなんだ。おまえは、このひとっているのかい。」と、かれらは、たずねました。
新しい町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
もののようにえた呂宋兵衛は、すでに、味方みかたなかばはきずつき、半ばはどこかへ逃げうせたのを見て、いよいよ狼狽ろうばいしたようす。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いくらばかりあせっても、矢種やだねがなくってはいくさはできません。残念ざんねんながら味方みかたけいくさかと田村麻呂たむらまろぎしりをしてくやしがりました。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
かれいへかへつたのち瘡痍きずおもけようとするのには醫者いしや診斷しんだん寸毫すんがうかれ味方みかたしてなかつたからである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
仔細しさいいて、めうよわはう味方みかたする、江戸えど連中れんぢうが、わたし會費くわいひすよ、あたいだつて。
九九九会小記 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
人にも聞いて下され、貴殿は御存じあるまいが、拙者は常に貴殿の味方みかたでござったよ。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
人の弱味よわみを見るに上手じょうずなこの群集動物は、相手を見くびると脅迫きょうはくする、かなわない時は味方みかたを呼ぶ、味方はこの山々谷々から呼応して来るのですから、初めて通る人は全くおどかされてしまいます。
てき味方みかたはもうよくわかる
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
渋面じゅうめんをつくった呂宋兵衛るそんべえと、にがりきった菊池半助きくちはんすけとが、片輪かたわ死骸しがいになった味方みかたのなかに立ってぼんやりと朝の光を見ていた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
子供こどもに、そんなことをさせるのは、先方せんぽうがよくない。いやがるのは、もっともだ。」と、こんどは、おとうさんが、吉雄よしお味方みかたされたのでした。
子供はばかでなかった (新字新仮名) / 小川未明(著)
これで義朝よしとももへいこうして、だまってしまいました。そしてくやしまぎれに、はげしく味方みかたにさしずをして、めちゃめちゃにかけさせました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
かはづ何方どつち味方みかたをする。」
霰ふる (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大勢おほぜい味方みかたあつまつて
赤い旗 (旧字旧仮名) / 槙本楠郎(著)
なみは、ごろはあまりなかはよくなかったけれど、こんなときは味方みかたになってもらおうとおもいましたから、かぜめて
一本の銀の針 (新字新仮名) / 小川未明(著)
てき大将たいしょう高丸たかまるはくやしがって、味方みかたをしかりつけては、どこまでもとどまろうとしましたけれど、一くずれかかったいきおいはどうしてもなおりません。
田村将軍 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そうしますと、これまで毎日まいにちなかむつまじく、らしていた二人ふたりは、てき味方みかた間柄あいだがらになったのです。それがいかにも、不思議ふしぎなことにおもわれました。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)
まずおとがめをうけてしこめられている六条判官為義ろくじょうほうがんためよしつみをゆるして、味方みかた大将軍たいしょうぐんになさいました。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
うちへいって、あやまらなくても、半分はんぶん弁償べんしょうすればいいだろう。」と山本やまもとは、小西こにし味方みかたして、いいました。
眼鏡 (新字新仮名) / 小川未明(著)
味方みかたのこらずにと覚悟かくごをきめたりしたこともありましたが、そのたびごとにいつも義家よしいえが、不思議ふしぎ智恵ちえ勇気ゆうきと、それから神様かみさまのような弓矢ゆみやわざてき退しりぞけて
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
これからは、だまされてはいけないし、つよくならなければならん。そして、しんに、自分じぶんたちのためになり、ちからのないものの味方みかたになる、ただしい人間にんげん選挙せんきょするのだ。
心の芽 (新字新仮名) / 小川未明(著)
それにあちらへお味方みかたがった武士ぶしの中で、いくらか手ごわいのはわたくしのあに義朝よしとも一人ひとりでございますが、これとてもわたくしが矢先やさきにかけてたおしてしまいます。
鎮西八郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
これをくと、としちゃんは、きゅうに、味方みかたたというよりは、かなしくなったのでしょう。おかあさんのむねにとびつくようにしてそのかおをふところのあたりへめました。
年ちゃんとハーモニカ (新字新仮名) / 小川未明(著)
いくさがすんでしまえば、もうてき味方みかたもない。むだに人のいのちつにはおよばない。」
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
はじめ、たがいにかおわないあいだは、二人ふたりてき味方みかたかというようなかんじがして、ろくろくものもいいませんでしたけれど、いつしか二人ふたりなかよしになってしまいました。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)
九分九厘くぶくりんまでいくさにきまったものを、もりかえして味方みかた勝利しょうりにしました。
八幡太郎 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
「おかあさんは、きよの味方みかたばかりしていらっしゃるんだわ。」と、不平ふへいをいいました。
北風にたこは上がる (新字新仮名) / 小川未明(著)
正雄まさおのいったことを、ほんとうだとおもって悪口わるくちをいうのをよしたものも多数たすうありましたが、なかには、「きみは、きつねの味方みかたになったのかい。」といって、あざわらったものもあります。
青いボタン (新字新仮名) / 小川未明(著)
そして、味方みかた陣営じんえいかって、いきかけたのであるが、またなにをおもったか、かえしてきて、戦友せんゆううでについている時計とけいのゆるんだねじをきました。かれは、指先ゆびさきうごかしながら
戦友 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ばかものめ、たとえかみさまがいらしても、ひとのためをおもわぬ欲深よくふかや、ひきょうものに、なんで味方みかたをなさるものか。とりや、けものをるがいい。いつもいきいきとして、自由じゆうにたのしんでいる。
きつねをおがんだ人たち (新字新仮名) / 小川未明(著)
あなたがおかえりになれば、らぬひとがかわりにくるでしょう。やはりしんせつな、やさしいひとならいいが、てき味方みかたというようなかんがえをもったひとだとこまります。どうか、もうしばらくいてください。
野ばら (新字新仮名) / 小川未明(著)
「あのなら、だいいちに、こころからおれたちの味方みかたなんだ。」
あらしの前の木と鳥の会話 (新字新仮名) / 小川未明(著)