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濱野屋
ふいと
立つて、「
一所に
來な。」で、
通へ
出て、
右の
濱野屋で、
御自分、めい/\に
似合ふやうにお
見立て
下すつたものであつた。
他に
布袋屋と
言ふ——
今もあらう——
呉服屋があつたが、
此の
濱野屋の
方の
主人が、でつぷりと
肥つて、
莞爾々々して
居て、
布袋と
言ふ
呼稱があつた。
「
先生、
小清潔とまゐりませんでも、せめて
縞柄のわかりますのを、
新年は
一枚と
存じます……
恐れ
入りますが、お
帳面を。」「また
濱野屋か。」
神樂坂には