龍駕りゅうが)” の例文
下山の龍駕りゅうがには、尊氏方からお迎えの軍勢が途中まで出ていること。等々々の手筈てはずまで、一切、しめし合せもつけておられたのだった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まず! しかとしたその御理由を! まった御内議の仔細を、伺いたいものと存じます。さもあらねば、龍駕りゅうがをよそへうつしまいらすなどは、言語道断。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「のみならず、備前の住人児島高徳らが、それと結んで、中国山脈の要地に待ち伏せ、隠岐送りの龍駕りゅうがを襲って、先帝を奪いかえさんと目企もくろんでいるとも聞いた」
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
詩は、彼でなく、大覚だいかくみやが書いたものである。——やがて天皇が、隠岐から都へ還幸かんこうとなったれの日に——高徳もまた宮と共に、龍駕りゅうがにしたがって都へ入った。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、義貞や君側の讒臣ざんしんを打つのが初志しょしでありますから、もし龍駕りゅうがを都へおかえしあるなら、よろこんで奉迎し、過去を問わず、大方の者は、本官本領にふくし、かつまた
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、牛車の龍駕りゅうがは安邑まで急いだ。しかしこことて仮御所にふさわしいような家などはない。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そしてここはまだ天下混沌こんとんといっていいところだが、奕々えきえきと天の一方からは、理想の到達に誇ッた凱歌のあしおとが近づいて来つつあった。——都門還幸の後醍醐ごだいご龍駕りゅうがであった。
「笑うべきたわごとかな。汝ら乱賊の難を避けて帝おん自らこれへ龍駕りゅうがはしらせ給うによって、李傕御座ぎょざを守護してこれにあるのだ。——汝らなお、龍駕をおうて天子に弓をひくかっ」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、その龍駕りゅうがを待つ都には、高氏がいた。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)