鼎足ていそく)” の例文
将軍はよろしく人の和をもって、それに鼎足ていそくかたちをとり、もって、天下三分の大気運を興すべきである——と、孔明は説くのであった。
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大沼の三方に鼎足ていそくの勢を成して聳立しているのが、外輪山の一である黒檜山、中央火口丘の地蔵岳及び溶岩流の凝結した鈴ヶ岳である。
特に鼎足ていそくの形を成しながら光芒の雄偉を競うものはこれらの三女史であると信じます。
石橋いしばしわたしとのこの時の憤慨ふんがいふ者は非常ひじやうであつた、何故なにゆゑ山田やまだ鼎足ていそくちかひそむいたかとふに、これよりさき山田やまだ金港堂きんこうどうから夏木立なつこだちだいする一冊いつさつを出版しました、これ大喝采だいくわつさい歓迎くわんげいされたのです
硯友社の沿革 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
それに対して、わが君は静かに時運をながめ、江東の要害を固うして、河北の袁紹えんしょうと、鼎足ていそくの形をなし、おもむろに天下のげきをうかがっておられるのが上策です。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この賊を追わば、荊州へ一挙に兵を入れ給うて、劉予州と鼎足ていそくのかたちをとり、呉の外郭がいかくをかため、民を安んじ、長久の治策を計ること、それはまず後日に譲ってもよいでしょう
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
独龍岡どくりゅうこうの強味は、三家鼎足ていそくの形をなしているからです。けれどいつかも申しあげた通り、東麓とうろくの一族、撲天鵰はくてんちょう李応りおうだけは、本家の祝氏しゅくしと気まずくなっているだけに、こんどは加勢に出ていません。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)